東京都写真美術館で『今森光彦 にっぽんの里山』6月20日から ライフワークとする「里山」シリーズ約190点を一挙展観

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自然と人との関わりをとらえた美しい写真や映像作品で知られる自然写真家・今森光彦がライフワークとする「里山」シリーズ。日本全国200カ所以上を撮影してきた同シリーズのなかから、厳選した約190点を一挙に展観する展覧会が、6月20日(木)から9月29日(日)まで、東京・恵比寿の東京都写真美術館で開催される。

今森光彦は、1954年、滋賀県生まれ。独学で写真を学び、1980年からフリーランスの写真家として活躍。以後、世界の熱帯雨林や砂漠から国内の自然環境まで幅広く取材してきた。1992年には、「日本中の里山を旅しながら訪ねてみたい」という思いから、雑誌で『里山物語』の連載を開始。「里山」という言葉は、森林生態学などの分野で「人里と山の間に広がる農業環境」を指す言葉として使われていたものの、当時はまだ一般的ではなかった。だが、これを「人が暮らしている同じ場所に生き物がいっしょにいる空間全部」と考えた今森は、「里山」の概念を広げていく。その新しい自然の概念は多くの人々の共感を呼び、「里山」が一般に認知されるきっかけになったという。

《カタクリにやってきたギフチョウ》山形県鶴岡市 2010年 作家蔵

自身の住まいのある琵琶湖周辺から始めた今森は、約20年の歳月をかけて全国200か所の里山を撮影してきた。同展は、30年にわたって取り組んできた「里山」シリーズを「春夏秋冬」の4部構成で紹介する最新展だ。「春」の章では、ギフチョウなどの生き物や、田植え、茶摘みなどの暮らしの作品を、「夏」の章では、ゲンジボタルなどの生き物や、田んぼや夕立など夏の風景を、「秋」の章では、八重山と紅葉する山々の景色を、そして「冬」の章では、厳しい寒さと共存する人や生き物の様子を、それぞれの中心として展観していく。いずれの季節も、自然と人との絶妙なバランスで生み出される「里山」の魅力と、多様性に富んだ日本各地の美しい情景が堪能できるラインナップとなっている。

《朝霧の棚田》 新潟県十日町市 2010年 作家蔵

同展には未公開作や最新作も含まれているが、なかでも注目されるのは、最新の映像作品も紹介されること。舞台は、滋賀県にある自身のアトリエを囲む1000坪の敷地を使った「オーレリアンの庭」。生き物の集まる場所として今森が長く作庭を続けているこの庭で、どんな生き物との出会いや発見があるのかも楽しみなところだ。

<開催概要>
『今森光彦 にっぽんの里山』

会期:2024年6月20日(木)~9月29日(日)
会場:東京都写真美術館 2階展示室
時間:10:00~18:00、木金は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)
休館:月曜(祝日の場合開館翌平日休)
料金:一般700円、大学560円、65歳以上・高中350円
公式サイト:
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4814.html

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