沖縄戦テーマに平和劇 体験者の証言を元に創作 長崎市平和会館で6月8日

「沖縄戦の実相を知ってほしい」と語る永田さん=長崎新聞社

 1945年の沖縄戦体験者の証言を元に創作した「沖縄戦と平和劇~次代の子どもたちに平和な世界をつないでいくために~」(実行委主催)が8日午後3時から長崎市平野町の市平和会館で開かれる。脚本と演出を手がけた永田健作実行委代表(42)=那覇市=は「沖縄戦の実相、体験者の憤りや悔しさを伝えようと劇にした。ぜひ被爆地長崎の人に鑑賞してほしい」と呼びかけている。
 劇のあらすじは、沖縄戦の後期、南部のガマ(自然壕)に避難した父と娘が、二人の男と出会う。一人は教師、もう一人は身分を隠した軍人だった-。軍人が「貴様、戦陣訓を知らんのか」と怒鳴ると、父親は「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず、死して罪過の汚名を残すこと勿(なか)れ、この言葉のせいで何人死んだかね」-。戦争体験者の言葉をそのままセリフにし、凄惨(せいさん)さなどを伝える。
 永田さんが映像ディレクターとして戦争体験者と出会い話を聞く中で、その体験談を劇という形で残そうと思い立った。さらに証言を集め、ガマなどの戦跡を巡った上で脚本を書き上げ、沖縄を拠点とするプロの若手俳優4人が迫真の演技を見せる。
 永田さんを中心とする実行委が2021年から上演を始めると沖縄県内の中学、高校生向けの平和学習のコンテンツとなり、学校などで計19回上演され、延べ約3千人が鑑賞した。
 今後は全国展開を計画しており、それに先立ち5月23日の千葉県を皮切りに、6月8日に長崎、同9日に広島で上演する。いずれも入場無料。全国で上演するための費用をクラウドファンディング(サイトhttps://readyfor.jp/projects/heiwageki)で6月末まで募っている。
 永田さんは「80年前、子どもたちが学徒動員で沖縄戦に駆り出された。今また戦争が起きるのではという緊張感が高まる中、沖縄では避難訓練も行われている。戦争を二度と繰り返してはならない。長崎で劇を見て、共感してくれたらクラウドファンディングに協力してほしい」と話している。長崎公演などの問い合わせは永田さん(メールn.kensaku1130@gmail.com)。

平和劇の出演者たち(実行委提供)

© 株式会社長崎新聞社