大川原、捜査の悪質性指摘 控訴審、国と都は争う姿勢

東京高裁に向かう大川原化工機の大川原正明社長(右)ら=5日午前

 生物兵器製造に転用可能な装置を無許可輸出したとする外為法違反罪などの起訴が取り消された大川原化工機(横浜市)の大川原正明社長(75)らが、東京都と国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が5日、東京高裁であった。社長側は、警視庁公安部が立件目的で輸出規制を所管する経済産業省に見解を曲げさせたとし、捜査の悪質性に関する一審の認定は不十分だと指摘した。

 国や都は当時の捜査は適法だったとして社長側の控訴棄却を求めた。

 弁論では当時の公安部の捜査員について、社長側が2人、都側が9人をそれぞれ証人請求した。7月下旬に開かれる非公開の進行協議で採否が決定する見通し。社長側は、元取締役の島田順司さん(71)が隠れて録音した取り調べの記録などを証拠として新たに提出した。

 閉廷後に記者会見した大川原社長は国や都に関し「不都合なことは全て切り捨てている印象を受けた」とした上で、「われわれにも本来の仕事がある。できるだけ早く結審してほしい」と述べた。島田さんは「検証と反省、謝罪を求めたい」と厳しい表情で語った。

© 一般社団法人共同通信社