独創のVRヘッドセットPimaxが日本上陸。ハイエンドPC VRのPimax Crystal Super予告、普及版Crystal Lightは近日出荷

独創のVRヘッドセットPimaxが日本上陸。ハイエンドPC VRのPimax Crystal Super予告、普及版Crystal Lightは近日出荷

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独自の広視野角・高解像度VRヘッドセットで知られるPimaxが、新製品 Pimax Crystal Super および Pimax Crystal Light の日本国内向け展開を発表しました。

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ハイエンドモデル Pimax Crystal Super は、8K(片目4K x 4K)で最高50-57PPDという高解像度・高精細で広視野角、アイトラッキング対応のPC VR製品。

レンズとディスプレイパネル含む光学エンジンをまるごと引き抜いて交換でき、有機ELとQLEDを選べるという特異すぎる構成です。価格は構成により30万円前後、今年2024年の第4四半期出荷予定。

もう一方の Pimax Crystal Light は、普及価格でハイエンド仕様がコンセプト。

5.7K解像度(片目2880 x 2880)、35PPDの仕様に、上位モデル譲りの非球面ガラスレンズや、暗い領域はバックライトを切ってコントラストを高めるローカルディミングなど、映像品質に対して高い費用対効果を追求したモデルです。こちらは14万円台で予約を受け付け、近日中に出荷予定。

■Pimaxのヤバさ

Pimaxは上海に拠点を持つVRヘッドセットメーカー。2015年創業と(VR界隈にしては)老舗で、特異な広視野角・高解像度ヘッドセットで知られています。

どれくらい特異かといえば、現在に続くVR中興の祖というべきOculus がようやく2K(片目1080 x 1200)の商用初号モデルOculus Rift CV1を発売していた2016年、コンシューマー向け初の4Kモデル(片目2K x 2K)で話題を集めたほど。

2019年には、コンシューマ向け初の8K(片目4K2K)かつ視野角200度という異様なスペックのPimax 8Kを投入。

VRヘッドセットの視野角、つまり視野の広さはディスプレイパネルの入手性や広く見せるレンズ構成、描画に必要となるグラフィック性能(解像度や歪み補正)、引き延ばせば必然的に落ちる精細感等の要素で決まり、各社が製品コンセプトにそったバランスを選択するもので、現在に至るまでおおむね100度から110度程度が妥当な落としどころです。

しかしPimax は、公称で対角200度というヤケクソに広い視野角を実現した最初期のメーカーのひとつ。

当時はようやくNVIDIA GeForce RTX 20シリーズが出たばかりで、ヘッドセットがあっても高解像度をフルにドライブできるPCのハードルが高かったうえに、PCからヘッドセットに転送する部分の帯域が足りずヘッドセット側でアップスケールが必要だったりと、この人たちは「バランス」や「落とし所」といった概念を聞いたことがないのでは?と疑わせるやべえ構成でした。

左右にやたらと長くV字型の、もはやスタイル云々のレベルではなく異形頭キャラのコスプレじみたヘッドセットの外観も、この時期のエッジが効きすぎた仕様をなんとか実現するためのパーツ構成から来ています。

(なお、外観があまりにもアレでインパクトがあるためか、テンセント版の『三体』ドラマではPimaxがVRヘッドセットの撮影に使われています。Netflixのシンプルでつるつるな薄型ヘルメットとは対照的)

当時はVRヘッドセットをめぐる技術が現在ほど洗練されておらず、各社とも今後のスタンダードを模索していた時期ではありますが、特にPimax はディスプレイの配置から独特のガラス製非球面レンズを始めとする光学系まで、好んで未踏の荒野を突っ切ろうとするメーカーの代表格でした。(超広視野角を追求したメーカーとしては Varjo や StarVRなどもあります)。

個人的には、当時の海外取材で超広視野角モデルの開発機を試した際、視界の端の歪みなどなど粗い部分は歴然とありつつ、それでも左右の視界が広々として、「覗き込んでいる」感が限りなく少ないVRに強烈な印象を受けた記憶があります。

■Pimax Crystal と新モデルCrystal Super、Crystal Light

こうした独自すぎるPimax製品は、アンバランスな部分も多々ありつつ、広い視野が重要なシミュレーターのファンなどを中心に支持を受け綿々とモデルチェンジを続け、(Pimaxなりに)洗練を重ねてきました。

そのPimaxがコンシューマー向けの新世代モデルとして発売したのが、2023年に発売した Pimax Crystal (無印)。日本国内でも以前から購入できたモデルです。

仕様は片目2880 x 2880、35PPD (角度1度ごとに何ピクセル詰まっているか、つまり精細感の高さ)、コントラストを高めるローカルディミング対応ミニLEDバックライト+量子ドット液晶パネル、アイトラッキングなど。

今年はApple Vision Proなど片目4K相当の製品が各社から登場しているため比較は若干ややこしくなりますが、Pimaxとしては発表時点で「コンシューマー向けVRヘッドセットとしてもっとも高解像度」「35PPDとガラスレンズによる明瞭な高精細」をうたっていました。

今回、国内向けに正式発表された Crystal Super はこのCrystal をさらにグレードアップした上位モデル、Crystal Light は映像面の品質を維持しつつ価格を下げたモデルにあたります。

Crystal Light は、2880 x 2880 の解像度や非球面ガラスレンズ等はそのまま、Crystalの一部仕様をオミットした構成。

具体的には、PC VRと単体動作するAIO (オールインワン)モードの両対応だったところをPC VR専用に、単体動作用のバッテリーやSnapdragon XR2プロセッサ等を省いて軽量化、アイトラッキングをオミットなど。

デュアルチャネルのマイクや、インサイドアウトの6DOFトラッキングとLighthouseトラッキングの両対応といった部分は残しています。

PC VRヘッドセットをそろそろ新調したい、あるいは大好きなゲームなりアバターなりコンテンツをもっと綺麗な映像で楽しみたい人向けに、14万円台で買える最新のPC VRヘッドセットという位置づけです。

一方、今年第4四半期に出荷予定の Crystal Super は名前のとおりさらにハイエンドを追求したモデル。

こちらはまだ詳細な仕様が出ていないものの、無印Crystal / Crystal Light と同じQLED+ミニLEDモデル(最大120Hz)と、マイクロ有機ELモデル(最大90Hz)を選択できる(モジュール化しており交換できる) 点が大きな特徴となっています。

画素数は片目3840 x 3840の8K(またはリアル4K)、PPDは50から57、視野角は正確な仕様がないものの、Crystal Lightよりも広い140度程度。

こちらはアイトラッキングを載せているため、注視点は高精細に、周辺視野は解像度を落として描画することでPC側の負荷を下げ、おなじGPUでより豪華な映像を体験できるダイナミックフォビエーテッドレンダリングにも対応します。

(なお、Crystal比で完全な上位互換というわけではなく、オールインワン機能はオミット。実際にオールインワン機能はあれば嬉しいものの、独自のAndroidベースOSとなるため対応ソフトが乏しく、Meta Quest のように単体で楽しめるというより「ゲーミングPCがない場所でも限定的なデモができる・Firefoxブラウザとかは使える」程度だったため、費用対効果で落としたのかもしれません)

Pimax Crystal Light は、ローカルディミング非対応モデルが11万2999円。ローカルディミング対応QLED版で14万3999円。すでに予約を受け付けており、近日出荷予定。

Pimax Crystal Super も予約でき、2024年第4四半期に出荷見込みです。

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