JR苫小牧駅前で10年も手つかずのままになっていた「巨大な廃ビル」。5日、苫小牧市が再開発に向けて地権者と合意したと発表しました。
■加藤諒也記者:
「JR苫小牧駅の南口です。この巨大な廃ビルの解体に向けて事態がようやく動き出しました。」
JR苫小牧駅の目の前に建つ地下1階、地上8階の巨大なビル。
2014年に商業施設「egao」が閉店して以来、10年もの間使われることがないまま取り残されてきました。建物内には飲食店のメニュー表に…食品サンプル、テーブルやイスなども残されたままです。
■タクシー運転手:「イメージがよくない。いつまでもこのままさらしておくわけにはいかない。」
このビルが10年も放置されてきたのには複雑な事情がありました。
商業施設の閉店後、市はビルの廃墟化を防ごうと複数の地権者に土地と建物の寄付を求めそれを民間企業に譲渡して解体と再整備を行ってもらう計画を打ち出しました。これを受け、建物の全てとほとんどの土地は寄付されましたが、一部の土地を持つ地元企業「大東開発」が「敷地は自社と縁がある菓子店が発祥した地であり、そこで店を再建したい」と拒否したため、交渉はまとまりませんでした。
その後も地権者と話し合いを続けてきた苫小牧市。事態を打開しようと、今年3月には駅前再開発の基本構想を発表しました。廃ビルの跡地はタクシーや一般車が乗り降りする広場と公園に。駅前には、商業施設や科学館などが入るビルを建てる構想です。
そして5日。新たな動きが…。
苫小牧市の岩倉市長が交渉を進めてきた廃ビルの地権者と再開発に向けて基本合意を締結したと発表したのです。
■苫小牧市岩倉博文市長:
「駅前再整備に向けて一歩前進したものと考えております。」
今回、「大東開発」が所有する廃ビルの敷地内の土地と市が所有する別の土地を交換することで交渉がまとまったといいます。一方、市はこれまで他の地権者からは無償での譲渡により土地の集約を進めてきましたが…。
■苫小牧市岩倉博文市長:
「土地交換という方向にいかなければ決着できないという事情があってのことでありますし、そういう意味ではこれだけ時間がかかっていますので、すでに(無償で)判を押している地権者に関しても一定程度の理解はしていただけるのではないか。」
再開発が一歩動き出したことについて市民は…
■タクシー運転手:
「よかった。なぜ今まで話し合いがつかなかったのか。」
■苫小牧駅前通商店街振興組合木村司理事長:
「寂しい駅前通になっているので期待感が大きい。(再開発の)スタートにつけたことはすばらしいことだがゴネ得を許した市の責任態勢は疑問に思うところもある。」
苫小牧市は今後、再開発を担う民間事業者を選定し、再来年度にも廃ビルの解体を始めたいとしています。
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