【タイ】首相やタクシン氏めぐる混乱、経済に悪影響[政治]

タイの経済アナリストは、国内の政治不安が株価や経済に悪影響を及ぼすと懸念している。セーター首相は倫理規定違反の疑いで告訴されており、タクシン元首相は不敬罪などの疑いで起訴される見込み。最大野党・前進党への解党請求も審議が始まる。バンコクポストなどが5日に伝えた。

中国の証券大手、中国銀河証券(CGS)のタイ法人、CGSインターナショナル・セキュリティーズ(タイランド)の調査責任者を務めるガセム氏は「政治の不確実性の高まりが経済と市場心理を冷え込ませる」と指摘。政治不安が株価を押し下げるとの見方を示した。他の証券会社のアナリストからも「セーター氏が有罪となれば新内閣を発足させなければならなくなり、景気刺激策の実行がさらに遅れる」といった声や、審議の長期化への懸念が上がる。

セーター氏は内閣改造の人事を巡り、倫理規定違反の疑いで上院議員40人から告訴された。憲法裁判所は5月23日に上院議員らの訴状を受理。セーター氏は15日以内に憲法裁に違反がないことを説明する予定となっている。

タクシン氏を巡っては、検事総長府が5月29日に同氏を起訴する方針を示した。その後、同氏が公の場に姿を見せていないことから、一部で「再び国外逃亡したのでは」との臆測が出ているが、セーター氏は4日、「タクシン氏はバンコクの自宅にいて、不敬罪の疑いと戦う準備ができている」などとして臆測を否定した。

前進党は昨年の下院総選挙で不敬罪の廃止を掲げたことなどを理由に、選挙管理委員会が解党請求を出している。同党は4日、憲法裁に反論書を提出した。

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