【マレーシア】5年ぶりに日本語プレゼン大会、13人が出場[社会]

AtoZランゲージセンターと在マレーシア日本大使館は、「日本語ビジネスプレゼンテーションコンテスト」を開催した=1日、クアラルンプール(AtoZランゲージセンター提供)

マレーシアの日系語学学校AtoZランゲージセンターと在マレーシア日本大使館は1日、首都クアラルンプールで「日本語ビジネスプレゼンテーションコンテスト」を開催した。新型コロナウイルス禍前の2019年以来5年ぶりの開催となり、日本語を学んでいる13人が「キャリア(仕事)」をテーマに日本語でプレゼン能力を競った。

「学生(日本留学経験のない日本語学習者)の部」と「一般(日本留学経験の有無は問わず日本語が堪能な非母語話者の社会人)の部」の2部に分かれ、発表者は応募者26人の中から事前審査で選ばれた。プレゼン用ソフト「パワーポイント」を活用した発表が多く見られた。

在マレーシア日本大使館の齋藤幸義一等書記官、日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所の高野光一所長、国際交流基金クアラルンプール事務所の梅枝雅子副所長(日本語事業部長)、全日本空輸(ANA)クアラルンプール支店の日下部稔支店長の4人が審査員を務め、それぞれの発表後には、質疑応答も行われた。

学生の部には5人が出場し、アルバイトの経験や、日系企業でのインターンシップから学んだマレーシアと日本の文化の違い、仕事の本質などについて発表。「私は何になりたいの?」と題して発表したアズミル・ハムジ・ビン・ノルマンさんが優勝した。アズミルさんは、日本語能力試験(JLPT)に何度も落ちたことなど自らの経験について話し、失敗を恐れず、夢を追いかけることの重要さを訴えた。

一般の部には、日本への留学経験があったり、日系企業に勤務したりしている人たちを中心に8人が出場。「7年目の浮気」と題して、日本語を学び始めた経緯や、キャリアと育児・介護の両立の難しさや苦悩などについて発表したラシュミ・マンダヤムさんが優勝した。

学生の部で優勝したアズミルさんには日本在外企業協会による訪日プログラムへの招聘(しょうへい)、一般の部で優勝したラシュミさんには、全日空のクアラルンプール—東京間の往復航空券と賞金1,000リンギ(約3万3,400円)が贈られた。

■160人以上が来場

AtoZランゲージセンターの西尾亜希子校長は、マレーシアでは日本語を学んでいても仕事に生かしていない人が多いことからこのコンテストを開始したと説明。「マレーシア人の良いところはフレキシブル(柔軟性がある)で、独創性が高く、他の人のミスを許してあげられる寛容なところであり、それらはわれわれ日本人の弱いところでもある」と話し、互いに学び合い、協力関係を深化させていきたいとの考えを示した。

プレゼンコンテストの会場では、人材紹介会社や日本語学校などがブースを出展。プレゼンコンテストに先立ち、中国で活動する日本語講師、笈川幸司(おいかわ・こうじ)氏による学生向けの会話・発音セミナー、教師向けの会話クラス運営セミナーも開催され、来場者は162人に上った。

プレゼンコンテストには、日本の団体やマレーシアから日本への元留学生らで構成される団体、日系企業が複数協力した。

【左】AtoZランゲージセンターの西尾校長(左から1人目)と「学生の部」の発表者5人【右】「一般の部」の発表者8人=1日、クアラルンプール(NNA撮影)

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