【阪神】痛恨の逆転負け…岡田監督の「まだ貯金1」は強がりか秘策へのサインか

岡田監督のリクエストが通らず阪神は敗れた

阪神は5日の楽天戦(甲子園)で勝利まであとアウト1つから2―3で痛恨の逆転負けを喫した。交流戦は1勝6敗の最下位に沈んだままで最大「7」あった貯金もみるみると減って、ついに「1」となった。それでも岡田彰布監督(66)はまだどこかに〝余裕〟を漂わせるコメントも残した。老将だからこその達観なのか、それとも――。

猛虎が窮地に立たされた。2―1でリードしていた9回も二死二塁となり、甲子園球場のスタンドには「あと1人」コールが巻き起こっていた。ヒヤヒヤでも勝てれば何でもいい…。そんな虎党の願いが打ち砕かれ、真っ青になったのはその直後だった。

6番手で登板した昨季の胴上げ投手・岩崎がカウント3―1から投じた140キロの直球が逆球となり、小郷に捉えられた打球を無情にも右翼席に叩き込まれた。勝利目前で沸きに沸いていた虎党の歓声も瞬く間に悲鳴に変わった。

岡田監督は低調な打線が挙げた2点のリードを全力で守りにいった。7回二死一、三塁から相手の打者1人ごとに3投手を投入する執念の継投で、どうにか無失点で抑えた。そこまでしたのに守護神が痛すぎる逆転弾を食らう悪夢の展開となった。

試合後の指揮官は「だから2点やアカンいうことやんか。5回から『2点じゃ絶対にやられる』って言うてたんよ」と一向に状態が上向かない打線を責め、早々と会見を終えると最後に「誰も『まだ貯金1ありますね』って言わへんなあ」と言い残してクラブハウスへ引き揚げていった。

昨季は18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に輝いた岡田阪神。今季の貧打は深刻で現状が最悪だと感じるファンも少なくはないだろう。だが、虎将は違うようだ。第1次岡田政権最終年となった2008年に比べれば、まだまだと思っているのかもしれない。

2位だった巨人に最大13ゲーム差をつけて独走しながら、シーズン終盤で一気に逆転V逸。当時を知る球団OBは「あの時の空気もヒドかったけど、今も苦しいだろうね。あの頃も最後は打てなかったけど…。監督は基本的にワンポイントとかやらないけど、今日は珍しくいってたもんね。7回なんてね。絶対に勝ちにいこうとしてたでしょ」と岡田采配の変化を口にした。

采配面で必死のタクトを振るったのは確か。6日からは二軍再調整させていたノイジーが一軍に昇格する予定だが、起爆剤になるかは疑問も残る。「まだ貯金1」という岡田監督の言葉はさらなる秘策へのサインなのか、はたまた単なる強がりなのか…。百戦錬磨の指揮官の今後が注目される。

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