「もっと頑張りなさい」と責めるのは間違い!家庭環境やしつけ、本人の努力は発達障害とまったく関係ない理由とは?【心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話】

自分や本人を責めるのは間違い!

発達障害は、かつては「家庭環境のせい」「親のしつけのせい」「本人の努力が足りない」といった後天的なもので起きていると考えられていましたが、現在は研究が進み医学的に否定されています。繰り返しになりますが、遺伝子異常などの遺伝的要因と胎児期の環境的要因によって引き起こされる先天的なもので、生まれつきの脳の特性なのです。

後天的な要素はまったく関係ありませんから、仮に子どもが発達障害と診断されても、家庭環境やしつけに問題があるわけでも、本人が努力していないわけでもありません。そのため、「育て方が悪かった」と悩んだり、「もっと頑張りなさい」と子どもに対して怒ったりするのは間違いです。

ただし、家庭環境や本人の生活の乱れが原因で発達障害のような症状が出てしまうケースも存在します。そういった部分を改善すると症状がおさまることも少なくありませんので、本当に発達障害かどうかは専門家に診てもらう必要があるでしょう。

また、発達障害の兄弟姉妹がいる「きょうだい児」の場合、発達障害の子に親がかかりきりになってしまうため、定型発達の子に、集中力の欠如や反抗的態度、多動、ケンカ、多弁といった症状が現れるケースもあります。

これは、「どうにかして親の気を引きたい」という気持ちから起きる行動で、イライラや不満を抱えている証拠です。そのため、きょうだい児に対するケアも必要になっていきます。

【出典】『心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話』
監修:湯汲英史(ゆくみえいし) 日本文芸社刊

監修者プロフィール
公認心理師・精神保健福祉士・言語聴覚士。早稲田大学第一文学部心理学専攻卒。現在、公益社団法人発達協会常務理事、早稲田大学非常勤講師、練馬区保育園巡回指導員などを務める。 著書に『0歳~6歳 子どもの発達とレジリエンス保育の本―子どもの「立ち直る力」を育てる』(学研プラス)、『子どもが伸びる関わりことば26―発達が気になる子へのことばかけ』(鈴木出版)、『ことばの力を伸ばす考え方・教え方 ―話す前から一・二語文まで― 』(明石書店)など多数。

<この一冊で発達障害の最新事情と正しい知識がわかる!>ここ13年で10倍に増えたとされる「発達障害」。昨今はADHDやアスペルガーといったワードが一般の人たちにも普及したことにより、病院への受診率が増え、自分や子ども、家族に対して発達障害かも、と感じる人たちが増えている印象です。特に近年、「グレーゾーン」や「気になる子」といった発達障害かもしれない人や子どものことをさす用語も一般的に浸透するほど、関心の高いテーマになっています。そんな発達障害について知りたい人に向け、発達障害の正しい知識や最新の情報から、周りのサポート法、対処法を図解とイラストでわかりやすく解説します。本人が気にしている、周りの人も気になるような発達障害の人の言動について、本人はどう考えてそのような行動をとったり、発言したりしているのかなど、物事を考える背景や手順を解説した上で、本人ができる対処法やそれに対する周りのサポート法、心構えを実例も交えて具体的に紹介します。発達障害かもしれないと思っている当事者、知人友人恋人など周囲の人が発達障害かもしれないと思っている人、自分の子どもが発達障害かもしれないと思っている親など、発達障害の知識を広げたい、理解したいと考えている方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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