街中で “クマに遭遇” どうする?「熊よけの鈴の効果は期待薄」「死んだふりはよくない」パンク町田氏に聞く 海沿いの市街地にクマ出没の衝撃

海沿いの市街地に “クマ出没” の衝撃 市街地に出没する動物たち

5月下旬、広島県廿日市市ではクマの目撃情報が相次ぎました。この影響で、目撃場所に近い小学校は2日連続で休校となりました。街にはクマの出没を警戒するポスターも貼られていました。

地域の住民:
「早く山に帰ってもらえたら、子どもたちも安心して外で遊べるので」

さらに、同じ廿日市市の線路では、のんびりと歩くシカの姿もありました。さんざん草を食べたすえに座りこみました。堂々とした立ち振る舞いに記者もびっくりです。

また、安佐北区の狩留家では川の中を猛ダッシュで走り抜けるシカの姿も…

撮影者:
「塀の上にサルがおります」

クマ・シカ以外にも、去年10月には通学路でもある住宅街で鳴く10匹近いサルの群れも目撃されています。

住宅が近い場所でも目撃されるようになった野生動物たち。もし遭遇してしまったらどうすればいいのか。猛獣から昆虫まであらゆる動物の専門家・パンク町田さんに聞きます。

パンク町田氏が解説 市街地で動物出没相次ぐ理由は

青山高治 キャスター:
本当、動物といえばおなじみのパンクさんですが、以前は珍しい動物などについてパンクさんに教えてもらうという場面がよくありましたが、最近はこういう「街中に動物が…」ということで質問されることも多いんじゃないですか?

動物研究家 パンク町田 さん:
そうですね。もう、ここ2~3年で急に増えましたね。

青山高治 キャスター:
住宅街などで動物が目撃されるようになったのはなぜなんでしょうか?

パンク町田 さん:
まず一番の理由は、今まで2年くらい前までですね、動物たちにとって非常に気候がよく、豊作だったんです。山でも実りがよかったわけです。

唐澤恋花 アナウンサー:
なるほど。クマでいうと、わたしが住んでいた場所が、群馬県のクマがよく出る地域で、目撃情報とかも毎日のようにシーズンになるとあったんですけど、実際にクマに遭遇してしまった場合は、どうしたらいいんでしょうか?

パンク町田 さん:
クマの方もわれわれ人間の存在に気づいていないようでしたら、まずは動かずじっとするというのがいいかと思います。

唐澤恋花 アナウンサー:
じっとするんですね。動かない方がいい?

パンク町田 さん:
まずは動かない方がいいと思います。もし目が合ってしまったというのであれば、目を離さない方がいいです。それでまだクマがじっと動かないようであれば、目を離さずにバックでゆっくりとクマとの距離を取る、というような対策をとったらいいと思います。

青山高治 キャスター:
これが近距離といいますか、出会い頭で遭遇してしまった場合は、また違いますか?

パンク町田 さん:
出会い頭でクマにもし襲われてしまったということであれば、抵抗してください。北海道にいるようなヒグマではなく、ベアであればアメリカなどでは実際に戦った方が、要するに抵抗した方が生存率が高い、というデータもありますので、とりあえず、あきらめずに戦ってください。

青山高治 キャスター:
なるほどそういったデータもあるということですね。出会い頭でもちょっと本当ぶつかるような出会った場合ということですもんね。

パンク町田 さん:
そうですね、もうクマに実際に襲われてしまったら…の話です。

市街地のクマに “熊よけの鈴“ は効果薄 「死んだふりもよくない」

青山高治 キャスター:
「熊よけの鈴」とかはこういったものはどうなんでしょうか?

パンク町田 さん:
鈴もですね、山の中では有効かもしれません。特に山深いところでは有効かもしれませんが、街のそばに出歩くようなクマは人間の出す音に慣れていますので、鈴の効果はかなり期待できないものになっています。

コメンテーター 平尾順平 さん(ひろしまジン大学 代表理事)
ぼくは子どもの頃からクマと出会ったら「まずは死んだふり」っていうのが刷り込まれているような気がするんですけども、目が合っていなければ、それも可能かもしれないけど、ひとたび、向こうが認識してしまったら、もう戦った方がいいっていうのが今の常識なんですか?

パンク町田 さん:
そうですね、海外ではそういう報道というか、そういう注意をしているところがあります。日本ではとりあえず「頭を手で覆って伏せましょう」というようなこともあるんですが、実際にはクマというのは、生きた動物よりは行き倒れのような動物を食べるという、そういう性質を持っていますので、死んだふりというのはよくないかと思いますね。

青山高治 キャスター:
広島は山もあれば海もあるという県なんですが、今回、その廿日市というところで、いわゆる山ではなく、海側のところまでクマが現れたということで、たいへん、みなさん驚かれたんですが、こういう海側まで来たりとか、クマの行動範囲ってのはどんどん広がっていくものなんでしょうか?

パンク町田 さん:
クマの分布数が増えると分布域も広がらないとクマも生活していけませんので、これからは、この調子で繁殖が進みますと、今以上に見られるようになるかもしれませんが、これからの気候にそれはかかっているかと思います。

青山高治 キャスター:
でもこういったクマと遭遇しても抵抗するようになった場合は本当に致し方がない場合ということですもんね。

パンク町田 さん:
襲われていない限りは、抵抗せずにじっとするなどの処置を取った方がいいと思います。

サルは棒を怖がる 「ステッキや傘を振り回して威嚇するのが効果的」

青山高治 キャスター:
続いて、サルに遭遇した場合はまた違うわけですよね。

パンク町田さん:
サルというのは棒や枝によく止まったりしているわけですが、どういうわけか動くとすごく怖がるんですよ。ですから棒状のものを持って歩くというのがおすすめです

青山高治 キャスター:
サルはとにかく棒を怖がるんですか。

パンク町田 さん:
はい、棒を怖がります。

青山高治 キャスター:
本当にちょっと持ってる杖であったり、傘であったりとか、携帯の自撮り棒みたいなもので大丈夫なわけですか?

パンク町田 さん:
そうですね、ステッキであったり、あるいは傘というのはよくですね、実際にサルを追い払うために使われているものですね。それを振り回して、要するにサルを威嚇する感じですね。

市街地で動物出没の背景は?「ある程度、人工的に間引くことも必要」

青山高治 キャスター:
シカに遭遇した場合は?

パンク町田 さん:
案外、シカは人を襲わない動物で、むしろ人との距離をシカの方で取りたいんですよ。ですから常に人間の方には警戒していますので、袋小路か何か行き止まりの所に偶然いて、それで人間が鉢合わせて、その “窮鼠貓を噛む” 状態でシカも思わず突進してくるということはあるかもしれませんが、基本、逃げるところがある限り、人間には突進してこないで、遠くへ行ってシカの方で距離を取ってくれます。

青山高治 キャスター:
最後にこういった動物の行動にはその背景にそれぞれ意味があると思うんですが、パンクさんは最近、こうやって住宅街にいろんな動物が現れているという状況をどんなふうに感じてらっしゃいますか?

パンク町田 さん:
これは日本人の今までの努力なんですね、結局。この環境を保全しようということで保全してきました。その結果、緑が豊かになり、それに伴い、昆虫や小さな小動物が増えて、そして次にシカやイノシシなどが増えて、最終的にクマが増える段階にきましたので、人間の要するにわれわれ日本人の環境保全がうまくいった証だと思いますが、ですけど実際には危険であると。要するにある程度ですね、人間の方、ちょっと人工的かもしれませんけど、場合によっては間引いていくような作業とかも必要になってくるかもしれませんね。

© 株式会社中国放送