若隆景、気力充実...福島合宿、申し合い稽古全勝 地元の声援を力に

朝稽古に打ち込む若隆景(右)=福島市相撲場

 地元の声援を力に変える―。福島市相撲場で5日に始まった大相撲荒汐部屋の「福島合宿」。昨年は右膝の大けがによるリハビリ中で、本格的な稽古には参加できなかった大波3兄弟の三男で十両の若隆景(29)=本名大波渥=はこの日、気迫のこもった取組で観衆を沸かせた。「たくさんの人が来てくれた。この声援に応えられるようにやっていきたい」。詰めかけたファンを前に力を込めた。

 夏場所で十両優勝を飾り、来場所での幕内復帰を確実とした元関脇はこの日、福島市出身の幕下丹治や、幕下上位の荒篤山(こうとくざん)、大青山(だいせいざん)と申し合いで12番取って圧巻の全勝だった。元幕内優勝経験者の実力を見せつけ、相手を投げ技で仕留めた際には、場内から歓声が上がった。

 同相撲場は幼い頃から稽古に励んできた場所でもある。若隆景は「小さい頃からここで稽古して、力を付けてきた。懐かしい気持ちはある」と感慨深そうに語り、「昨年は満足な稽古ができなかったので、今年はいい稽古が見せられたらと思う」と充実した表情を浮かべた。

 熱のこもった稽古に駆け付けた相撲ファンたちも胸を躍らせた。大波3兄弟の活躍で相撲ファンとなった郡山市の会社員高橋美恵子さん(49)は「若隆景関の力強い取組を間近で見られて、膝の状態も良さそうで安心した。今後の活躍が楽しみです」と期待する。

 初めて稽古を見学したという福島市の渡辺和夫さん(74)は「生で見ると迫力が違う。地元の力士たちに頑張ってもらたい」とエールを送った。

© 福島民友新聞株式会社