世界の核弾頭は1万2120発 世界9カ国が保有、長崎大レクナ推計 「現役」増加傾向

世界の核弾頭数

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は5日、世界9カ国が保有する核弾頭総数が計1万2120発(昨年比400発減)との推計を発表した。退役・解体待ちを除く「現役」核弾頭数は9583発で、2018年以降、増加傾向にあり「核軍拡が実質進んでいる」と分析した。
 レクナ教員らでつくるチームが各国専門機関の情報や研究者の文献を基に推計。ロシア(5580発)、米国(5044発)で昨年より減少。中国(500発)、インド(170発)、北朝鮮(50発)は増加し、フランス(290発)、英国(225発)、パキスタン(170発)、イスラエル(90発)は増減なしだった。
 調査を始めた13年以降、核弾頭総数は減少傾向が続き、11年間で約3割減ったが、多くは米ロの退役・解体待ちなど。核兵器の種類の統合や性能向上で減少している側面があり、実質的な核戦力の縮小と一致していない。
 一方、米ロの新戦略兵器削減条約(新START)履行期限だった18年以降の6年間で、「現役」核弾頭数は332発増加。米国は92発(2.4%)減、フランスは増減なしだが、ほか7カ国は10~260発(5~233%)増えた。
 中村桂子准教授は「減少傾向を示す総数だけでは『軍縮が進んでいる』印象になり、現実との乖離(かいり)が年々大きくなっていた。『現役』核弾頭数に着目することで、より現状を示すことができる」と指摘した。

レクナが作成した現役核弾頭数の増減(2018~24年)を表すポスター

 世界の核物質量の推計結果(22年末)によると、高濃縮ウランは広島原爆1万9610発分に相当する1255トン(前年比5トン減)。分離プルトニウムは、長崎原爆9万3270発分の560トン(同8トン増)。フランスの民生用が増えたことなどが要因。
 核弾頭数などを示す今年のポスターはデザインを一新し「現役」核弾頭数と増減率を表示。県内学校に配布し、レクナホームページからダウンロードできる。

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