宮澤エマ「泣きながらインターナショナルスクールに…」 菊田一夫演劇賞で両親に感謝「これからも言葉を大切に」

授賞式に登壇した宮澤エマ【写真:ENCOUNT編集部】

舞台『ラビット・ホール』、『オデッサ』の演技に対して

俳優の宮澤エマが6日、都内で行われた第49回菊田一夫演劇賞授賞式に出席。宮澤は舞台『ラビット・ホール』のベッカ役、『オデッサ』の警部役の演技にて菊田一夫演劇賞を受賞したが、受賞への熱い思いを語っていた。

菊田一夫演劇賞は、劇作家・菊田一夫の功績を後世に伝えると共に、演劇界の発展のために設けられた演劇賞。大衆演劇の舞台で際立った業績を示した作家、演出家、俳優、技術スタッフに贈られる。

宮澤は2023年に上演された2つの舞台について「この年は私の初舞台から10年目になります」と語ると「この10年間、本当に作品やカンパニーのご縁に恵まれました。同時にこの仕事は、いかに作品や人に恵まれるかが大事であることを実感しました」としみじみと感謝を述べる。

宮澤は、『ラビット・ホール』『オデッサ』共に“翻訳”が一つの重要な要素を秘めているというと「私は父親がアメリカ人、母親が日本人の間に生まれ、両親がバイリンガルに育てたいという教育方針を持っていました」と境遇を語り、「どちらの作品も翻訳というのがネックというか課題にありました。英語の劇を日本語でやるのは難しいなと感じる中、今回の作品は『もう二度と呼ばれなくてもいいや』と言う思いで、翻訳に対して言いたいことを言わせてもらったんです」と振り返る。

『オデッサ』は三谷幸喜が作・演出を務めたが、宮澤は英語監修を務めた。その際「三谷さんにはたくさんご意見をしました。時にはガチンコ過ぎて、三谷さんが本気で怒っているなと感じたこともあり、引いた方がいいのかなと思ったりしました。それぐらい真摯(しんし)に、現代に生きる日本語と英語で上演することを大事にしてくださる現場だったので、こういう結果になったのかなと思いました」とホッとした表情を浮かべる。

「結果が出なければ干されるかもしれない」という覚悟で作品に臨んだという宮澤だが「泣きながらインターナショナルスクールに転校して『こんな英語ばかりの学校に行きたくない』と泣きわめく私を辛抱強く励ましてくれた母や父、家族がいなければ、この場所に立っていなかったのかもしれません。これからも言葉を大切に、真摯に気持ちを伝えていきたいです」と意気込みを語っていた。

<第49回菊田一夫演劇賞>
■菊田一夫演劇大賞
・『ラグタイム』上演関係者一同(『ラグタイム』の高い舞台成果に対して)

■菊田一夫演劇賞
・柿澤勇人(『スクールオブロック』のデューイ・フィン役、『オデッサ』の青年役の演技に対して)
・宮澤エマ(『ラビット・ホール』のベッカ役、『オデッサ』の警部役の演技に対して)
・三浦宏規(『のだめカンタービレ』の千秋真一役、『赤と黒』のジュリアン・ソレル役、『千と千尋の神隠し』のハク役の演技に対して)
・ウォーリー木下(『チャーリーとチョコレート工場』『町田くんの世界』の演出の成果に対して)

■菊田一夫演劇賞特別賞
・前田美波里(永年のミュージカルの舞台における功績に対して)ENCOUNT編集部

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