カーラースーなぜなくの♪…「ガーガー」と濁れば威嚇です ヒナ守るため人でも攻撃、巣立ちの6-8月は要注意

カラス被害を注意喚起する鹿児島市の看板=4日、鹿児島市小川町

 「カラスの巣があり、子育て中のため威嚇や攻撃をする恐れがあります」。5月下旬、鹿児島市小川町の電車通り沿いの歩道に注意喚起の看板が立てられた。街路樹に巣を作った親鳥から通行人が攻撃される被害が発生したため、市が設置した。専門家は、カラスは6~8月に巣立ちの時期を迎えるとして「親鳥が子を守ろうと人を威嚇することがある。刺激を与えないで」と注意を呼びかける。

 6月4日午前、看板前の街路樹には巣はあるものの、カラスの気配はなかった。同市伊敷1丁目の造園業男性(73)は「数日前、近くに子ガラスの死骸があった。全羽巣立ったのか、最近は静かだ」と話す。

 近くの「喫茶こころ」によると、5月、巣から子ガラス1羽が落下したことがあり、以来、親鳥が通行人の頭上付近を飛んだり、顔を突いたりするようになった。情報提供を受けた市公園緑化課は21日に看板を設置。当時は別の子ガラスが残っている様子だったため、巣は撤去しなかった。

 喫茶店の経営者は「営巣は近くのごみ置き場が一因かも。人通りが多い場所なので、防ぐ方法を知りたい」と不安がる。

 カラス被害のコンサルタント会社「CrowLab」(宇都宮市)によると、巣立ったばかりの子ガラスは飛ぶのが苦手で警戒心が薄い。そこで親鳥は、人が近くにいると、注意を自分に引こうと後頭部に接近したり、「ガーガー」と濁った鳴き声で威嚇したりする。鳴き声を聞いた時は別の道を通るのが良いという。

 同社の社長でカラスを20年以上研究する宇都宮大学の塚原直樹・特任助教は、「栄養価の高い食べ物が頻繁に手に入るエサ場の近くで、周囲を察知しやすい高い場所などに営巣することが多い」と説明。カラスにエサ場と認識されないために、ごみステーションの適切な管理が大切だという。

 塚原助教は「カラスが巣をどこに作ろうか考えている12月ごろから対策が必要。巣がある場合は、近づいてじっと見たり、物を投げたりする行為は控えて」と話した。

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