穴の中で砂まみれ、児童ら元気に取っ組み合い 伝統行事「おろごめ」で健やかな成長願う 垂水・柊原地区

砂浜に掘った「おろ」の中で取っ組み合いをする子どもたち=2日、垂水市柊原の海岸

 鹿児島県垂水市柊原の海岸で2日早朝、子どもの健やかな成長を願う伝統行事「おろごめ」があった。小学生31人が、砂浜に掘った穴の中で砂まみれになりながら元気よく取っ組み合いを繰り広げた。

 400年以上続くとされ、藩政時代に武士が野生の子馬を「おろ」と呼ばれる囲いに追い込んだ行事に由来する。近年は、毎年6月の第1日曜日に開いている。

 夜明け前からたいまつやのぼり旗を持って、地区公民館の裏山に登り、安全を祈願。日が昇る午前5時過ぎから、砂浜に掘った約3メートル四方、深さ1.5メートルの「おろ」の中で武士役の「親頭」が、馬役の「子頭」全員を外に出すまで追いかけた。押し出したり、引きずり出したりしようとする親頭の5、6年生に対し、子頭の1~4年生が逃げたり反撃したりして応戦。見守った保護者らから「がんばれ」「踏ん張れ」と声援が上がった。

 柊原小5年の平原大輝さんは「親頭は初めてで思ったよりも難しかったけれど、楽しかった」と話した。行事を支える柊原子ども育成会の黒川皓司会長(42)は「伝統を途切れさせることなく今年も開催できて良かった。これからも受け継いでいきたい」と語った。

砂浜に掘った「おろ」の中で取っ組み合いをする子どもたち=2日、垂水市柊原の海岸

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