子どものお金、「親が管理」はやめたほうがいい?! リアルママFPが実践する金銭教育3ステップ

引用元:Niko_Cingaryuk/gettyimages

「たまひよ」アプリユーザーに「お子さんのお祝いでもらったお金やお年玉は、誰がどう管理していますか?」と、質問。お子さんが乳幼児という家庭が多いので「親が管理」が9割を超えました。しかしお父さん・お母さん銀行への“スルーパス”は、子どもの成長とともに難しくなります。その際の注意点やアドバイスを、ライフスタイルアドバイザーで1級FP技能士の前田菜穂子さんに聞きました。

「報酬制おこづかい」「月1回渡す」はNG⁉ 4歳から始めるおこづかい。「娘は2歳から始めました」というFPが、子どもが成長する“金銭教育”を教えます【後編】

Q:実家・義実家から出産祝いをもらいましたか?

もらった 88.5%
もらわなかった 5.5%
その他 6%

Q:お子さんのお祝いでもらったお金やお年玉は、誰がどう管理していますか?

1位 親が管理し、銀行口座・現金で貯蓄する 59%
2位 親が管理し、子どもの費用(洋服、習い事など)に使う 33%
3位 その他 4%
4位 親が管理し、親が使う 2.5%
5位 子どもが管理している 1.5%

約9割が「親が管理」と回答。アンケート回答者の大半は、お子さんが乳幼児だったので、当然と言えば当然です。使い道も「子どもに渡す」「子どものために使う」が大半でした。

「将来は子どもに渡す」が多数の【親が管理し、銀行口座・現金で貯蓄する】コメント

【親が管理し、銀行口座・現金で貯蓄する】と回答した人は、約半数が「成人したら渡す」「ひとり立ちの時に渡す」とコメントしています。

「親が貯金していて、自分が20歳の時にもらいました。海外旅行に行ったり、好きに使わせてもらえたので、自分の子どもにもそうしたいです!」(うらら)
「成人したらプレゼントとして全額渡す予定です」(ここあ)
「18歳の時に通帳&カードを渡して、今後の生活費としなさいと使い方は任せるつもりです」(ビッグママ)
「高校卒業時に渡して、免許の取得費用などはそこから捻出させる予定です」(さーちゃん)
「お金の価値、使い方の認識ができるようになったら渡します。または結婚のときかな…」(たぬき)

「留学や大学費に充てる」予定は約25%

「将来、大学の学費に使います」(り)
「子どもの受験や留学など、まとまったお金が必要なときに使う」(あんこ)
「子どもの車免許取得に使ったり、学費にあてたり」(こったん)

「子どもが成長して、やりたいことが出てきたら、その時に使う予定です」(はるママ)

親が預かるけれど「臨機応変に」とする声も

「ある程度の年齢になったら一緒に管理して、子どもが必要な時に必要なだけ使えるようにする予定」(ほのまま)

「子どもと使い方を考えて、その都度引き出すようにしています」(ほりほり)

【親が管理し、銀行口座・現金で貯蓄する】としながらも、将来的には「子どもに使う」というコメントが主流でした。

今はお父さん・お母さん銀行へのスルーパスはスムーズですが、子どもが小学生になる頃から不満を言う可能性がでてきます。もし子どもが「自分で管理する」と、主張した場合の対処方法や注意点を、ライフスタイルアドバイザーで1級FP技能士の前田菜穂子さんに聞きました。

「ぜひ“3ステップ”で、お子さんに管理させましょう」と、FP前田さん

前田さんには小学校高学年の娘さんがいます。すでに“お母さん銀行”のスルーパスは阻止され、お祝い金やお年玉の管理は娘さん自身でしているそうです。お金の専門家としてだけでなく、母の実体験からもアドバイスをいただきました。

「『ワタシ(ボク)がもらったお金なのに……』と言ってきたら金銭教育のチャンスです! ぜひ子どもに管理させてみてください。
実は『自分のお金』となると、意外と財布の紐が硬くなる子が多いようです。

とはいえ、いきなり任せるのは運転免許も持たない人に車のカギを渡すようなもの……。暴走したり、大事故が起きないよう、3つのステップで進めましょう!

ステップ1:お金の大切さを伝え、子どもと一緒にいただけることに感謝する

いただいたお祝いやお年玉の金額で“どんなものを手に入れることができるのか?”、その金額を手にするためにはどのぐらい働かないといけないのか?”を、伝えてみてください。

例えば『回転ずしに〇回行けるね!』『電気代〇ヶ月分だよ』といった生活コストに置き換えたり、コメントにもありましたが『受験』『留学』『運転免許取得費用』など、将来大きなお金がかかるタイミングが来ることを伝えることもおすすめです。

ハンバーガーチェーン店等のアルバイト募集の貼り紙を見せながら『おじいちゃん、おばあちゃんからいただいた金額は、ここで〇時間も働いてやっともらえる金額なんだね』と具体的に伝え、お金をいただけることへ深い感謝を感じることができればステップ1はクリアです」

ステップ2:お金を使う優先順位、最低限守ることを伝える

日頃のお買い物で、親の金銭感覚を意識して伝えてみてください。お母さんやお父さんが、日々の家計管理では優先順位を決めて買い物をしていると知れば、将来子どもが家庭を持った時に大いに役立つはずです。

お金を友だちに貸したり、おごったりしない等、最低限の約束も必要です」

ステップ3:どのように使うか、子どもの意見を聞く

ステップ1、2ができたら、頂いたお金をどう使うか、子どもに聞いてみてください。前述しましたが『自分のお金』となると散財するよりも、その逆に財布の紐が硬くなる子が多くなり、それではせっかくの金銭教育ができません。

私の娘の場合は、数千円は家族レジャーなどでのおみやげ資金として手元に残し、残りは銀行に預けています。ちなみに5歳のときに一緒に銀行へ行って通帳を作り、自分で印鑑を押したこともあるせいか『この通帳のお金は自分のお金』として大切にしています。

最近は通帳に貯まっていく楽しさを味わいつつ、旅行のテレビCMを見ながら『私のお金で行ける!』と残高を見比べ、夢を膨らませています。

自転車という道具が『乗らないと上手にならない』ように、お金も『使ってみないと上手にならない』道具の一種です。ぜひ親の目が届くうちに、子どもにお金の使い方を教えていきましょう」

前田菜穂子

PROFILE)
みつめFP事務所代表で、1級FP技能士(国家資格)、CFP®(日本FP協会)、育勉®インストラクター、日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(平成29年10月~令和7年9月)FPmamaFriendsおこづかい教室認定講師。猛烈に働いた13年間の会社員生活での挫折や長く続いた不妊治療経験など、人生の壁にぶつかったことをきっかけに、金融業界未経験ながら5年間猛勉強してFPの資格を取得。“今より幸せで円満な家庭づくりのお手伝い”をモットーとし、娘として、妻として、母として、そして専門家として広い視野をもち、親子や夫婦でも話題にしづらい「お金のハナシ」に向き合うきっかけを提供しています。プライベートでは一児の母。

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FPmamaFriends「おこづかい」から始めるこどもの自立教育

文/和兎 尊美

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2023年12月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数198人)
※記事の内容は2023年3月の情報で、現在と異なる場合があります。

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