SNSでのミスコミュニケーション、文脈を読めば防げる?

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、6月6日の放送はSNSなどをめぐる「ミスコミュニケーション」をテーマにお届け。法改正で人を傷つける投稿に今後、歯止めがかかるのかどうか、メディアコンサルタントの松浦シゲキが解説した。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「先月、インターネット上の誹謗中傷投稿への迅速な対応を事業者に求める、改正プロバイダ責任制限法なるものが国会で成立しました。たとえばFacebookを運営するMetaやXなど、いわゆるプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業に対し、投稿の削除を申請する窓口の整備や、手続きの公表を義務付けるものです。公布後、1年以内に施行されるということです」

長野智子「(改正プロバイダ責任制限法は)一定の進歩なんですかね」

松浦シゲキ「実際に進むと削除基準の明確化が謳われたり、削除した場合の発信者への通知もしたりします。申請から原則1週間以内に何かしらの判断などを通知してくれます。いまだと削除対応がいつされるかわからない、いきなりされる、いろいろありましたけど、基準が明確化しましょう、と。ある意味で前に進んだといえます」

長野「根底にあるミスコミュニケーションがきょうのテーマですが、これはどういうことですか?」

松浦「字のとおりにいえばコミュニケーションの誤解、誤伝達で、意図したメッセージがうまく、正しく伝わらない、ということだと思います。そもそもの誹謗中傷論でいうと、SNSはソーシャルネットワークサービスであって、ソーシャルコミュニケーションサービスじゃないんですよ。コミュニケーションを大きな意味で目的にしているわけではない。ソーシャルネットワークのサービスなので」

鈴木「はい」

松浦「ソーシャルネットワークというとインターネットだけのように思われるかもしれませんけど、別にインターネットができてからの話ではなくて。ソーシャル(社会)のネットワークですから、家族、同級生、同じ時代を生きたネットワークとかあるじゃないですか。それがデジタルでつながりやすくなっただけ、ともいえるんです」

長野「なるほどね」

松浦「家族は家族なりの文脈、同じ高校生時代を過ごした文脈というがある。インターネット上でいざ、その文脈がなく話がスタートする。前提条件から何からすっ飛ばされて、出てきたコンテンツに対してコミュニケーションが発生したら、前提条件を共有していないから、最初から話がかみ合わない」

長野「わかる。ハイコンテキストとローコンテキスト。日本という国はもともとハイコンテキストカルチャーといわれて、言葉以外に共通する価値観が割と似ているじゃないですか。通じ合うところがありましたけど、ネットになると……」

松浦「文脈が抜け落ちてしまう。よくよく考えてほしいんですけど、ソーシャルネットワークで、家族でご飯を食べるとき、会社の同僚とご飯を食べるとき、荒い言葉づかいをしますか? という。荒くても共通するコミュニケーションはありますよね。そういう言葉が通用する仲間内だったら『バッカじゃないの(笑)』ぐらい言うじゃないですか。でも見ず知らずの人にいきなり言ったらまずい」

長野「よく明石家さんまさんが言っていた。『アホちゃうか』と言われると腹は立たないけど、東京の人が『バカじゃないか』と言うとイラッとする、みたいな(笑)」

鈴木「逆に関東の人は『アホ』と言われると腹が立つ。それと同じようなことかなと」

松浦「その文脈があるかないかのところを気にしてコミュニケーションできていますか。気にせずにコミュニケーションしているならそれはミス前提です、といえるんです」

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