各国メディアや代表OB、さらには微生物学者もEURO2024の結果を予想…優勝候補の大本命はフランス! 元イングランド代表DFも「彼らに勝つ方法が見当たらない」

ヨーロッパ大陸最強の代表チームを決するEURO2024は6月14日から1か月、ドイツの10都市10会場で開催される。

24か国によって争われるこのビッグイベントに向けて、出場各国は6日を締め切りにメンバー26名を選定し、また限られた時間の中で複数のテストマッチを消化するなど、準備に余念がない。

この4年に一度(前回大会はコロナ禍の影響で2021年開催)の祭典を前にして、各国メディアは様々な形で大会を展望し、どの国が7月14日にベルリンの夜空にアンリ・ドロネー杯を掲げることになるのかを予想している。

英国の通信社『REUTERS』などが報じたところによれば、ドイツの微生物学者マルクス・エゲルト氏は大腸菌を使い、サッカー場を模したシャーレ(皿)でペナルティーエリアの中にどれだけ多く分布したかによって勝敗を予想しているという。それによると、開幕戦のドイツ対スコットランドは開催国が2-0で白星スタートを切るとのことだ。
これはかなり奇抜な例だが、アメリカの大手放送局のスポーツサイトである『NBC Sports』は、独自の指標で大会を予想(「水晶玉で占ってみた」と綴っている)。こちらは各グループの順位の他、決勝トーナメント以降の全カード、結果(スコア)、さらには大会得点王、大会最優秀選手、そしてベストイレブンにまで言及しているから驚きだ。

ベスト16に進出するのは、ドイツ、デンマーク、スイス、イタリア、スペイン、ハンガリー、イングランド、ポーランド、ポルトガル、セルビア、オランダ、ウクライナ、ベルギー、クロアチア、フランス、トルコで、準々決勝では優勝候補筆頭と目されるイングランド対イタリアという前回大会決勝のカードが再現され、結果もイタリアのPK戦勝利という同じものになるという。

決勝にはウクライナを下したドイツ、イタリアを下したフランスが進み、最後は開催国ではなく、優勝予想オッズでは2番手とされている「レ・ブルー」が3-1で勝利し、2000年大会以来の戴冠を果たすと予想。そして個人タイトルは、得点王、MVPともにキリアン・エムバペが受賞し、もちろんベストイレブンにも選出されるという、ある意味予想のしやすいものとなっている。 一方、英国のスポーツ専門サイト『Sports Mole』は、決勝のカードを準決勝でイングランドに勝利したフランスと、ドイツを下したポルトガルのマッチアップになると予想。「2016年大会の決勝の再現となる可能性は十分あるが、結果は8年前(ポルトガルが1-0で勝利)と異なる」と綴った同メディアは、独自のデータを示し、「レ・ブルーは87%の人々から決勝進出を支持され、優勝すると予想する声も67%ともっとも高い。ポルトガルは13%で、イングランド(13%)、ドイツ(7%)とともに優勝候補と目された国のひとつにすぎない」と、順当な組み合わせであると強調した。

オーストラリアのスポーツ専門チャンネル『OPTUS SPORT』は、元同国代表GKのマーク・シュワルツァー、元イングランド代表FWでJリーグでも活躍したジェイ・ボスロイドら、同メディアの「フットボール・ポッドキャスト・チーム」の予想を紹介している。

優勝予想は、シュワルツァーが「ずっとフランスと言い続けてきたが、やっぱりポルトガルか」、ボスロイドは「心の中ではイングランド。ガレス・サウスゲイト監督の判断が正しければ私の予想通りになるだろう。しかし、中立的な見地から見ればフランス以外に考えられない」と、それぞれ回答した。
個人タイトルは、シュワルツァーが得点王を「ブルーノ・フェルナンデス(ポルトガル)。予選でも6点を挙げている」と予想し、最優秀選手は「エムバペ」とした。対してボスロイドは得点王に「ハリー・ケイン(イングランド)。彼はPKが得意だからだ」、最優秀選手には「フィル・フォデンかジュード・ベリンガム(いずれもイングランド)で、より多くプレーしそうなベリンガムを選ぶ」と、名前を挙げている。

ボスロイドは母国代表を応援しながらも、現実的な見方でフランスを優勝候補としたが、それは先月末に英国の日刊紙『The Telegraph』で「スリーライオンズ」(イングランド代表の愛称)のドイツでの戦いを展望した元代表DFジェイミー・キャラガーも同様で、選手層の差からフランスに軍配が上がるとし、「イングランドがフランスに勝つ方法が見当たらない。前回の対戦(カタール・ワールドカップ準々決勝でフランスが2-1で勝利)では非常に接戦だったが、わずかな差でありながら、フランスが常に上回っていると感じられた」と語っていた。

いずれにせよ優勝予想については、フランスが前評判通りの強さを見せつけるか、イングランドが産みの苦しみを乗り越えるかが最大の興味であり、これにドイツが開催国の意地を見せるか、あるいはその他のチームがサプライズを起こすのかといったところか。W杯に比べると、予想外な結末を多く生み出してきたEUROだが、17回目の大会でも歴史は繰り返されるのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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