カフェ2店、再起へ店舗共有 珠洲から金沢へ 曜日で入れ替わり営業

店舗を共有して営業を始めた奥佐さん(左)と影田さん=金沢市小橋町

  ●奥佐さん、影田さん「やるしかない」

 能登半島地震の被害を受けた珠洲市内のカフェ2店が、金沢市小橋町の店舗を共有して営業を始めた。カフェ&サロン「Anarchy(アナーキー)」と、ナチュラルカフェ「minanto(ミナント)」が曜日によって入れ替わり、ハンバーガーやオムライスなど店の名物を提供している。同じ場所で違う味が楽しめると評判で、店主は「食べに来てもらえるのが励みになる」と料理に腕を振るっている。

 営業を始めたのはアナーキー総長(店主)で整体師の奥佐将司さん(47)と、ミナント店主の影田奈央子さん(35)。水道代やガス代を折半しながら月、火曜にミナント、木~土曜にアナーキーが店を開けている。

 珠洲市上戸町にあるアナーキーは、建物に目立った被害はなかったものの休業中で、奥佐さんは「店を開けたとしても人もおらん、食材の調達もままならん」と嘆く。同市宝立町鵜飼のミナントも店舗は無事だったが、水道や電気が復旧せず、再開のめどは立っていない。

 アナーキーを2022年11月にオープンさせ、地元に骨をうずめるつもりだったという奥佐さん。ローンも残っており、3月上旬、「もう限界。支援を待っとっても始まらず、やるしかない」と決心し、知り合いの影田さんに金沢での営業を提案した。影田さんも賛同し、4月2日、共通の知人に紹介された小橋町の店舗を借りて営業を始めた。

 アナーキーは無添加のハンバーガーやホットドッグ、カレー、多種多様な酒が楽しめるほか、整体の予約も受け付けている。ミナントは自家製有機ケチャップのオムライスや、雑穀米と旬野菜のミルフィーユキッシュプレートが味わえる。店舗を貸したNIKUO中谷精肉店(神宮寺2丁目)の食品も買える。

 奥佐さんは、珠洲のアナーキーで月1回、被災者支援イベントを開催しており「趣味のバイク仲間にも店に来てほしい」と述べた。影田さんは「金沢から来ていたお客さんに再会できてうれしい。金沢限定のメニューも考えていきたい」と話した。

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