「恐怖よみがえった」 県西部の被災住民、動揺 奥能登で震度5強

 富山県内でも、元日の地震で大きな被害を受けた氷見、高岡、小矢部の住民らが不安を募らせた。「恐怖がよみがえった」「もう起きないと安心していたのに」。被災地を再び襲った早朝の揺れに、5カ月前の被害を思い起こし、動揺が広がった。二次避難で県内に身を寄せる能登の被災者は、ふるさとに残る家族の安否を気遣った。

 輪島市の自宅が全壊して南砺市内の空き家で避難生活を続ける仲谷美千代さん(70)は、輪島の祖母方から小学校に通勤する長女の響子さん(41)に慌てて連絡を取った。仲谷さんは「娘が無事でほっとした。祖母の家も大丈夫だったが、自宅は傾きがさらにひどくなったようだ」と話した。

 液状化被害を受けた氷見市栄町新道地区の橋本豊さん(77)は揺れの後、県道沿いの納屋の様子を確認に訪れ、「肝をつぶした。もう(地震が)こんがやと思っていた」と話した。

  ●さらなる転出危惧

 栄町新道地区の山崎勇人区長(61)は地区内の建物に被害がないか、自転車で確認して回った。同地区では震災後に多くの住民が転出しており、山崎さんは「今回の地震で(残った)みんなの気持ちが変わらないか心配だ」とさらなる住民流出を危惧した。

 北大町では元日の震災で被災した加納八幡神社で住民7人がラジオ体操していたが、中断した。茶山菊三さん(81)は「社殿からギシギシと音がして、しめ縄も揺れていた」と振り返った。

 高岡市伏木湊町の「古本なるや」の堀田晶さん(49)は、「揺れが長く感じて体が震えた」と語った。能登半島地震の影響で店舗は高岡市伏木古国府から現在地に移転した。これ以上場所を変えるつもりはないといい、「(地震と)向き合いながら伏木で営業を続けたい」と話した。

 元日に国道359号が大規模崩落した小矢部市内山でも不安が広がった。内山町内会の齊藤清区長(80)は「(元日の地震より)横揺れが強いように感じた。今後、大きな揺れが来ないか心配になる」と話した。

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