県庁前の花時計壊れる 老朽化で復旧めど立たず 大噴水も地震で停止 井戸埋まり、再開は年末

部品の老朽化で故障した花時計=県庁前公園

 富山市中心部の富山県庁前公園で、置県100年を記念した花時計が故障して復旧のめどが立たず、水の王国富山を象徴する大噴水も能登半島地震の影響で停止していることが6日、分かった。時計の修理費用は4千万円とかさむため、県は直すかそのまま花壇にするか検討する。噴水は水を供給する井戸が地震で埋まったため、新たな井戸を掘り終える11月末まで止まったままとなり、県民の憩いの場に寂しい空気が漂っている。

 公園を管理する県によると、花時計は毎年4月に稼働させ、冬季は休止期間となる。今年も4月1日に始動式を行ったが、翌2日には時計の針が遅れていることが判明。老朽化でモーターとギアが故障したためで、メーカーに問い合わせたところ、部品は既に生産停止し、在庫もなくなっていた。

 花時計は1983(昭和58)年の設置から40年余り、部品交換は一度もしていなかったという。修理するには部品を特注する必要があり、メーカーの見積もりでは4千万円程度かかる。県は花時計の花壇は従来通り整備する一方、時計機能に関しては「修理するかどうかを含め検討中」とする。

 公園中央にある直径35メートルの大噴水は、井戸が元日の揺れで土砂に埋まって修復は難しいため、園内に別の井戸を掘る。今月中に着工し、11月末の完成を予定する。噴水が干上がったままでは見栄えが悪いため現在は水道水をためているが、水は噴き上がらない。新しい井戸が完成してから再開する。

 県庁前公園は65年に戦災復興土地区画整理事業で整備され、大噴水は富山の戦災復興の象徴として親しまれてきた。今年1月には国土交通省の都市公園制度制定150周年記念公園施設に県内で唯一選ばれた。

 県は「県民に長年親しまれている公園であり、噴水はなるべく早く直し、花時計は少なくともきれいな花壇としては必ず残したい」(都市計画課)とした。

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