5月のクマ捕獲数、昨年の2倍 14頭、令和で2番目の多さ

クマ出没に備えて県が実施した市街地訓練=5月、加賀市

  ●大量出没警戒、7月研修会

 県内で今季、クマの捕獲が例年以上のペースで進んでいる。5月の捕獲数は昨年度同期比2倍の14頭となり、令和に入ってからは人身被害が最も多かった2020年度の16頭に次ぐ多さだった。今季は餌となるブナの実が凶作と予想される上、既に人身被害が2件発生。県は来月にも、3年ぶりとなる市町担当者や捕獲隊員向けの研修を開き、効果的なおりの設置場所などを助言する予定で、「大量出没」への警戒を強める。

 県によると、クマの駆除を目的としたおりは金沢、白山、小松、加賀、能美、羽咋、能登、宝達志水の8市町に設置されている。14頭は金沢や小松などで捕獲された。

 今季はブナの凶作予想を受け、県は4月26日に22年以来の「出没警戒準備情報」を発令しており、おりの設置が進んだことで捕獲数も増えたとみられる。

 捕獲数は年によってばらつきがあるが、5月が多い年は全体でも増える傾向にある。19年度は5月が12頭で年度全体が126頭、20年度は5月が16頭で年度全体が181頭だった。

 人身被害を軽減するには個体数を減らすことが欠かせず、県は推定生息数を1200頭から800頭まで減らす目標を掲げている。

 捕獲数が今後も伸びるよう、県は7月をめどに市町や猟友会向けの技術向上研修を開く。講師には多数の捕獲実績がある県外の専門家を招き、設置場所や捕獲後の注意点なども指導する。

 自然環境課の担当者は「クマの隠れ場所となるやぶの刈り払いなども呼び掛け、人身被害がこれ以上増えないようにしていきたい」と話した。

  ●捕獲と対策、両輪で 県立大・大井特任教授

  ●6月から雄活発に

 クマの生態に詳しい県立大の大井徹特任教授は、クマの交尾期である6、7月は雌を求める雄が活発に動くほか、親離れをした若いクマの活動量が増える時期でもあると指摘し、「捕獲と合わせ、屋外に野菜やごみを置かないなど人里に寄せ付けない対策も欠かせない。両輪で進めていく必要がある」と強調した。

 被害を防ぐ上では「目撃例がある地域を中心に、クマの生態を周知することも重要だ」と述べた。

© 株式会社北國新聞社