江戸の食文化彩る 肥前磁器の逸品47点 九陶で寄贈品展 初期伊万里など初公開

初期伊万里の「染付鷺文皿」

 江戸時代前期の肥前磁器の逸品を紹介する展覧会が、有田町の県立九州陶磁文化館で開かれている。個人収集家から寄贈された「赤戯幸(しゃくぎこう)コレクション」47点を初公開。将軍家や大名、富裕層の食文化を彩ったとされる上質な器の魅力に触れることができる。観覧無料で7月15日まで。

 東京都在住の収集家から「愛蔵していた肥前磁器をふるさとに帰したい」と申し出があり、2023年度に寄贈を受けた。「伊万里」「色絵」「鍋島」それぞれの様式の草創期の作品が多く、職人が技術を尽くした質の高いものがそろう。「赤戯幸」は、収集家がゆかりのある漢字を組み合わせた造語だという。

 中心となる初期伊万里、初期色絵、初期鍋島の作品からは、様式が確立する前の自由な雰囲気が伝わってくる。日本磁器の始まりとされる初期伊万里はおおらかな筆致が特徴で、初期色絵は大胆な文様と色彩のコントラストが目を引く。初期鍋島は将軍家への献上品として完成する前の多様なデザインを見ることができ、「色絵椿繋文小皿(いろえつばきつなぎもんこざら)」は荒さは残るがリズムと勢いがある。

 巖(いわお)由季子学芸員は「収集家が優れた感性で選び抜いた作品を見るだけでも楽しい」と来場を呼びかける。6月15日午後1時半からは巖学芸員による見どころ解説がある。月曜休館(祝日の場合は翌日)。同館、電話0955(43)3681。(青木宏文)

初期色絵の「色絵蔦文大皿」
初期鍋島の「色絵椿繋文小皿」

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