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福島大食農学類の平修教授は、人の毛髪を分析してストレスの度合いを可視化する技術の開発に成功した。うつの初期段階から毛髪に多く含まれるようになる物質が新たに見つかったといい、これにより、うつ病の予後予測や早期のメンタルヘルスケアが可能になると期待される。
6日、東京都で開いた福島大の新技術説明会で発表した。平氏は、小さな分子を精細に可視化できる分析法「ナノ微粒子質量分析」を開発し、マウスの体毛からストレス度を可視化する研究を進めている。研究の過程で、ストレスを与えた初期段階から表れる新たな物質を発見。この物質がうつ病の人の毛髪からも多く確認されたといい、マウスで進めてきた研究が人にも応用できることが分かった。
毛根には毛細血管があり、血液から体の情報が毛髪に移ることが知られている。日々伸びる毛髪には1日ごとの体の情報が記録されるため、数カ月前の状態を分析することも可能という。
今回の研究ではうつ病の人の毛髪を調べた。うつの兆候は分かりにくいが、この研究によって、毛髪1本から予後予測が可能となり、うつ病を特定する科学的根拠にもなり得る。今後はストレスの要因などについても分析を進めていく。
新技術説明会は福島大と科学技術振興機構(JST)の共催で6年ぶりに開かれた。研究成果(特許)の実用化が目的で、オンラインを含め約250社が参加。平氏と共生システム理工学類の田中明教授、大橋弘範准教授、笠井博則准教授、食農学類の深山陽子教授の5人が登壇した。