石原さとみが熱い想いを語る 映画『ミッシング』“心揺れる”ティーチイン付き上映会を開催

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映画『ミッシング』の“心揺れる”ティーチイン付き上映会が6月6日に東京・新宿ピカデリーで開催。主演の石原さとみをはじめ、共演の森優作、細川岳、そして監督・脚本の吉田恵輔が登壇した。

ある日突然いなくなった娘・美羽(有田麗未)の帰りを懸命に待ち続ける母親・沙織里(石原)とその家族は、自分たちの力ではどうにもできない現実との間でもがき苦しみ、事件をめぐるマスコミと世間の声に翻弄される。世の中にあふれる欺瞞や好奇の目に晒されながらも、沙織里は娘にいつか必ず会えると信じて、出口のない迷路を彷徨い続ける――。

公開3週目で興行収入ランキングがアップし、口コミの熱さとリピーターの多さでも話題の本作。本日のイベントにも3回以上鑑賞しているという観客が多く、石原は「精神的な負担も大きい作品なのに体力がすごい!」とツッコミつつ、喜びの表情を見せた。

続いて、司会者から周囲の人からどんな反応があったかという質問には、レギュラー番組で共演している俳優の濱田マリが観てくれたことを明かし、「1回目に見た時は本当に苦しくて辛かっただけど、一筋の光を感じた。その光をもっと欲しい、とおっしゃって。なんと、その2日後に2回目を観に行ってくださったんです! 結末も知ってるし、最初からラストのあの光や優しさを求めて観たら、本当にそれをキャッチできたって言ってて。今はその感覚を自分の中に染み付けたいから、3回目を観に行きたいと思っている!って言ってくださってるんです。一番近くにいる共演者の方が、そんな風にリピートして下さるのがすごく嬉しくて!」と笑顔がこぼれた。

石原さとみ

ハグを求められた石原さとみがショックだった理由

森は「大学生の甥っ子から“まじスゲー!”って言われたのが一番嬉しかったです」と喜びをあらわにし、細川は役者仲間から多くのリアクションをもらったそうで、「本当に良い映画だったと言ってくれて、それとセットで“虎舞竜、良かったな”と連絡をもらいます(笑)」と自身の見せ場のセリフへの思わぬ反響の大きさを感じたという。吉田監督は、「初日に友人を連れて鑑賞して、みんなにひたすら褒めてもらうという会をしました!」と明かし、会場からは笑いが起きていた。

撮影現場での森、細川の凄さを実感したエピソードを尋ねられた石原は「ふたりは一瞬にして溶け込みますよね。その生活感といいますか、空気に。それが本当に羨ましいなって」とふたりの佇まいを称賛。そして森との撮影で、クライマックスの車中でのシーンの際に森からハグを求められたエピソードを披露し、「ハグを求められて、私、ショックだったんです……私から言うべきだった……! そして、そういう演技へのアプローチがあるのかと尊敬しました」と悔しい表情を見せた。

対して森は「撮影上、何回も撮ってると自分は毎回新鮮にやるテクニックがない役者なので、なんかしないとって思って、僕の中の“リトル森”が姉ちゃんだからお願いしても大丈夫!って言ってたんで(笑)」と当時の心境を茶目っ気たっぷりに振り返った。

森優作

映画全体はシリアスな内容にも関わらず、この映画を観た人のほぼ全員が共感するのが、細川演じるカメラマン、不破がふと発する「虎舞竜……」というセリフ。中村倫也演じる砂田率いる地元テレビ局の取材クルーが沙織里にインタビューするシーンで、娘との日常について「なんでもないような日常が……」と真剣に語る中、「頭に虎舞竜が浮かびますよね」と水を差す場面だ。

「虎舞竜のくだり、あれは笑っていいのかどうか、悩みました。あの場面を撮影したときの現場の雰囲気を知りたい」という質問について細川は「中村さんが面白く受けてくれてたから、本当にありがとうございます!と思いました」とコメント。さらに、「石原さんの演技が血が通い過ぎていて、言葉全部が生きていた。その演技を見ていたら、台本を読んで想像していたものとは全く違う形で“虎舞竜”が口から出てきた」と石原の熱演ぶりに圧倒されたことを明かした。

細川岳

石原さとみが「凄い」と感じた俳優は?

また「重い映画かも?という先入観で観るのをためらっている人にはどう薦めればいいか?」という質問に石原は「観た後、絶対良かったって思うから観てほしい!と勧めています」、森は「吉田監督の作品に共通してると思うのは、生きづらさを抱えてる人たちに対しての眼差しがすごい暖かい。この作品に関しては、失踪事件に注視せずにもうちょっと広げて大きい枠で見てみようかなって思ってもらえたら、必ず届くものがあるなって思います」と、おすすめポイントを語った。

細川は「別に重い映画ではないというか、映画としてやっぱり良い作品だと思います。大事なものがひとつ増えるような感覚がある作品。映画を観るのに1,900円から2,000円しますが、この映画は、それだけの価値があるものだと信じているので……薦めていただきたいです!」とコメントした。

「さまざまな場面の脇役に、ワークショップで選ばれた個性的な人がキャスティングされていると知った。私のお気に入りは印刷会社のおじさんだが、それぞれ凄いと感じた人やお気に入りのキャラクターは?」という質問に石原は、夫・豊(青木崇高)と警察署を訪れた際に対応する「警察官」を挙げ、「そのシーンは実は、ほとんどアドリブだったんです。セリフ以外のところもずっと(カメラを)回していて、全部に対してリアクションしてくださるんですよ」と撮影の裏側を明かした。

さらに、「打ち上げの時に、沙織里と同じく娘が失踪してしまう母親役の方と、水難事故で子どもを亡くしてしまう母親役の方のママ3人で、号泣しながら励まし合うみたいなことがあって!」と驚きのエピソードを披露。撮影を終えてもなお役そのままの気持ちで苦しさを抱えながら助け合いたいという思いを言い合ったといい、吉田監督も思わず「それは面白い対談だったかもしれない!」とコメントした。

吉田恵輔監督

サボテンを持ってるおばちゃんに「イライラした~」

続いて森が「細川の次に登場するカメラマン」を挙げると、細川も「俺も!」とシンクロ。森は「あの何とも言えない顔の感じ。見る人によって、捉え方が変わる顔というか、それってすごい表現として素晴らしい」と絶賛し、細川が「ふたりでカメラの練習しました」と撮影時を振り返った。さらに吉田監督は、ワークショップの参加者の中で一番最初に決めたのがそのカメラマンだったという裏話も明かした。

そして吉田監督は「沙織里と豊がビラ配りをしているときに遭遇する、サボテンを持ってるおばちゃん」をチョイス。「全然笑わせようと思ってないから。普通に真面目にやってんのにああなっちゃうから」とモノマネを交えながら語ると、役に入りきっていた石原は当時を振り返って「イライラした~」と語った。

最後の挨拶で吉田監督は「だいぶ広がってはいるんですけど、それでもまだもっと多くの人に観ていただきたいなっていう欲が止まりません。なので、もっとひとりでも多くの人に届くように、皆さんの力を貸していただけたら幸いです。今日楽しいと思ったり、いいなと思ったら、何かお勧めしていただけるとありがたいです」とさらなるヒットへ向けて拡散のお願いをした。

石原も重ねて、「見てくださってあったかい気持ちになれたとか、光を感じられたっていう言葉がすごく大事な気がするんですね。もし落ちたとしても、そこから上がる光があるんだよってあったかいんだよってことを伝えていただいて、勇気を出して映画館に足を運ぼうっていう気持ちになってもらえたらいいな、とすごく思います。ここから皆さんの口コミだったり、SNSの力だったり、友だちや家族を誘ったりということを行動に移してもらえたら本当に助かります。今後ともよろしくお願いします」と“宝物”だという本作へのあふれんばかりの熱い想いを語り、イベントを締めくくった。

<作品情報>
映画『ミッシング』

公開中

公式サイト:
https://wwws.warnerbros.co.jp/missing/

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※吉田恵輔の「吉」は「つちよし」が正式表記

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