オッズは一番人気も「料理人が多すぎる」と評されたのは? EURO2024出場国の「パワーランキング」を専門メディアが発表!

6月14日からの1か月間、ドイツの10都市10会場で開催される、欧州最強国を決める4年に一度の祭典「EURO2024」。選りすぐりの24か国による戦いは、ワールドカップをも上回るハイレベルなものになると期待されている。

7月14日にベルリンのオリンピア・シュタディオンでアンリ・ドロネー・トロフィーを掲げるのがどの国になるのか、世界中のメディアが優勝国を予想しているが、同時に全出場国の力関係を独自の指標で測り、「パワーランキング」として順番をつけるところも。英国のサッカー専門サイト『Planet Football』もそのひとつで、以下のように下から順に“番付”を発表した。

24位:アルバニア
23位:ポーランド
22位:ルーマニア
21位;ジョージア
20位:スコットランド
19位:スロバキア
18位:スロベニア
17位:セルビア
16位:トルコ
15位:スイス

最下位のアルバニアは2016年大会以来2度目の本大会出場で、同メディアは「欧州5大リーグでプレーする選手が12人で、その多くがイタリアでプレーしており、簡単に勝てる相手ではない」としながらも、死の組に組み込まれ、「勝ち進むには、最低でも衝撃的な結果が必要だ」と指摘している。

ブービー評価のポーランドは世界屈指のストライカー、ロベルト・レバンドフスキを擁するも、「効果のない守備的なサッカーで息切れを起こすかもしれない」と予想。今大会唯一の初出場国であるジョージアについては、フビチャ・クバラツヘリアのようなビッグクラブが注目する逸材の存在はプラス材料だが、「次ラウンド進出の可能性はあるが、全財産を賭ける気にはならない」(同メディア)。

16位のトルコは、レアル・マドリー所属のアルダ・ギュレルら「刺激的な若手が多くいる」ものの、「2008年大会(ベスト4)のようなサプライズを起こすこともあれば、2020年大会(グループリーグ3戦全敗)のような場合もあるが、今回のチームはその中間」とどんな結果もあり得るチームと評価した。
14位:チェコ
13位:デンマーク
12位:ハンガリー
11位:クロアチア
10位:ウクライナ
9位:オーストリア
8位:ベルギー

ハンガリーは中間の12位だが、「この夏のダークホースであり、準々決勝まで進出しても驚きはない」と期待が高い。また11位のクロアチアに対しても、ルカ・モドリッチの“最後の大会”が「ワールドカップと異なり、EUROではこれまで不安定な結果に終わっているが、今回もそうなる可能性は低い」と見ている。
ウクライナの上位入りは、「戦火の母国のために戦うという特別な動機付けがなくても、彼らは今夏に波乱を巻き起こす可能性を秘めている」と、そのポテンシャルを評価。これを上回る9位のオーストリアは、ダビド・アラバを怪我で欠くにもかかわらず、「ブンデスリーガでプレーする有能な選手を多く擁しており、こちらも今夏のダークホースと見られている」と綴った。

近年のビッグイベントではタレントの豊富さから優勝候補にも挙げられていたベルギーは8位で、ケビン・デ・ブライネの才能と、ロメル・ルカクの得点能力は大きな武器だが、守護神ティボー・クルトワを各守備に大きな懸念があり、「最初に遭遇する強豪チームに負けるというのが、賢明な見方だ」という。

7位のスペインは、しつこいほどのパスの繋ぎで「相手がブラックホールに飲み込まれる」が、「格下相手にPK戦で敗北」という結末を予想。続く6位のオランダについては、「攻撃のクオリティーに欠けるも、中盤より後ろの選手層が伝統的に厚く、ビッグイベントでは後半戦に入るほど相手の脅威となることが多い」と、好結果を予想する。

前回王者のイタリアは5位で、「約20年間にわたって若手選手の不足が続く」という状況でも、「だからといって今夏の脅威にならないというわけではない。アズーリは歴史的に、成功の後の大会では失敗をというサイクルを繰り返しているが、ルチアーノ・スパレッティ監督の天才的な采配で、そのような不名誉な運命を避けることもできるはずだ」とポジティブな展望を示した。

4位に入ったのは開催国ドイツ。「2023年は日本など多くの国に親善試合で敗れて笑いものになったが、ユリアン・ナーゲルスマン監督の就任でチームが活気を取り戻し、希望が回復した。さらに、この大会をもって現役引退となるトニ・クロースの存在が、才能豊かなチームにとっての励みとなる」。 3位には、ブックメーカーのオッズでは一番人気となっているイングランドがランクインし、「選手の多くはキャリア最高のシーズンを過ごしたばかりであり、攻撃陣には恐ろしいほどの選手層の厚さを誇る」と良さを挙げるも、一方で「左SBの不在やMFの組み合わせなど多くの懸念事項も。また、人材の豊富さが典型的な『料理人が多すぎる』という状態にも見える」と指摘し、「優勝しなければ失敗とみなされるだろうが、準決勝で敗退するだろう」と、悲願の初優勝には悲観的な見方を示している。
2位には予選全勝のポルトガルが入り、「39歳のクリスチアーノ・ロナウドが“最後”の大会に向けて調整し、ルベン・ディアス、ベルナルド・シウバ、ブルーノ・フェルナンデス、ジョアン・パリーニャといった絶頂期を迎えたスターが多くいる。優勝の可能性もあるが、最後のハードル(決勝)で敗れると見ている」と、優勝した2016年大会以来の決勝進出の可能性を示唆した。

そして1位は、やはりと言うべきか、このところのメジャー大会では常に絶対的な優勝候補に挙げられているフランスだ。同メディアは、「順当すぎて退屈になるほどの優勝を飾る可能性も、驚きの早期敗退を喫する危険性」の両方を否定しないが、「最高の選手たちと、ノックアウトラウンドで強豪相手に接戦を勝ち抜くノウハウを備えている」と、他にはない強みを強調。さらに、「彼らにはキリアン・エムバペがいる。議論はこれで終わりだ」と、絶対的な切り札の存在にも言及している。

このような力関係が24か国の間にあるとしても、この通りに勝敗が決まらないのがトーナメントの魅力であり、とりわけEUROはサプライズの歴史であるとも言える。このパワーランキングにおける上位の国が貫録を見せつけるか、下位が下剋上を果たすか、大会の大きな見どころである。

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社