VAR廃止の決選投票、誰も賛同せず否決。誤審100件以上増える

ウルブスの主張、「問題提起」にはなる。

イングランド・プレミアリーグの年次総会が6月6日に行われ、ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFCから提出されていた「新シーズンからのVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)制度の廃止を求める提案」は、ウルブスを除く全19クラブの反対により否決された。

『BBC』によると、今後、プレミアリーグでは半自動オフサイドシステムも導入され、VARに関するスタジアムでの場内アナウンスによる説明も実施されていく。イングランドのプロサッカー審判員協会はこれまでのデータから、VARがなければ、得点に関わるシーン、そしてレッドカードに関する場面で、誤審が100件以上増えるとも報告していた。

一方、同メディアは判定問題について、「VAR廃止案の否決は驚くことではない。ただし、プレミアリーグに関わらず、審判員とクラブの間で起きている状況に誰も満足していないのは事実だ」と問題を提起。VAR導入から5シーズン、VARオペレーションルームの判断により、”致命的なファール”、“オフサイド”が判定されている可能性なども指摘されている。

本来は客観的に、明らかな判定ミスを指摘するために導入されたVARだが、ビデオ・アシスタント・レフェリーやアシスタントVARの”主観”も判定を左右する事象が見受けられる(例えばレッドカードの可能性があるとして、ファウルと思われる一瞬の動画を切り抜いて、何度も繰り返して主審に見せて、印象を強くするなど)。

また、最終的な判定が下されるまで時間が掛かることで、プレミアリーグの売りであるダイナミックさが失われてしまうのではないかという指摘について、半自動オフサイドシステムの採用やテクノロジーの進化により、さらに30秒ほど短縮できるということだ。

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今季のプレミアリーグでは、主審とVARの伝達ミスにより、リバプールFCのルイス・ディアスのゴールが、両者の勘違いのまま「オフサイド」と判定されて試合再開される事象が発生。リバプールはこの試合を1-2で落とし、結果的に優勝争いにも大きな影響を与えた。

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