「キャンセル料2000%で」バス会社が困惑する「相席ブロック」に憤慨集まるも…善意につけ込むマナー違反で割りを食う理不尽

大型バスで問題となる「相席ブロック」

6月6日、Xにポストされた《【お知らせ】 高速乗合バスの「相席ブロック」行為について。 個人で2名分隣り合わせに予約して出発間際に1名分をキャンセルするなど、意図的に相席をブロックする行為は、絶対におやめください》という書き込みが話題になっている。

発信者は、北海道の札幌・旭川など日本海側を中心にバスを運行している「沿岸バス」だ。「相席ブロック」とはいったいどういう行為なのか。「沿岸バス」はこの件について取材に応じなかったので、現役バス運転手に話を聞いた。

「特に女性に多いのですが、長時間乗車する高速バスなどで、隣の座席に座る『トナラー』を敬遠するお客さまが多いんです。

実際、予約時に、他に空席があるにもかかわらず『隣が女性だったらいいな』と、わざわざ予約が入っている席の隣を確保する男性トナラーもいて、お客さまから『リラックスできなかった』と苦情を言われることもあります。

そんなトナラーを避けるため、1人利用でも隣接する2席を確保して、出発直前に片方をキャンセルする人が多いんです。ギリギリにキャンセルすれば、高確率で隣が空席となりますから。これを『相席ブロック』と言うのです」

今回、「沿岸バス」がこうした「お知らせ」を出したのも、そういったことが背景にあるのだろう。関係者がこう指摘する。

「直前キャンセルの事例はさほど多くないようですが、今は国内旅行客も外国人旅行客も増加していて、バス会社とすれば、一便になるべく多くのお客さまに利用していただきたいのが本音です。

そういう意味で、『相席ブロック』は悩みのタネなのでしょう。そのため『このようなキャンセルはおやめください』という注意喚起の意味で、お願いポストをしたようです」

こうした「相席ブロック」が出る理由のひとつに、キャンセル料の安さがある。「沿岸バス」の場合、電話予約だとキャンセル料は無料。Web予約でもクレジット決済の手数料210円のみという。ホテルの当日キャンセルは100%の金額を取られることを考えると、あまりに安い。「それなら……」と考える乗客がいても不思議ではない。

Xにも、

《当日100%のキャンセル料に加えて、7~2日前は30%など細かく設定して対策するのもいいと思いますね》

《相席拒否するなら2席買うのが常識だろう》

《業務妨害じゃん》

《キャンセル料2000%で》

などの声が寄せられていた。ホテル同様、「当日キャンセル料100%にすればいい」という意見が多かったのだが……ただ、急用などでやむなくキャンセルする人からすれば困った話。善意につけ込むマナー違反のせいで、真っ当な利用者に迷惑がかかるのは、なんとも理不尽だ。

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