【ソフトバンク】怪物左腕モイネロ 驚愕の〝両投げ〟告白「右でも140キロは出る」

8回1失点で3勝目をあげたソフトバンク・モイネロ

パ・リーグ首位のソフトバンクは7日のDeNA戦(横浜)に10―1の快勝で、貯金を今季最多タイの「20」に戻した。打線が15安打、今季5度目の2桁得点。4カード連続で大事な初戦を制した。

開幕から快投連発のリバン・モイネロ投手(28)が8回1失点、120球の熱投で3勝目。投手も打席に立つ交流戦のセ主催試合で、待望のNPB初安打もマークするなど投打に躍動した。

昨季まで球界屈指のセットアッパーに君臨してきた28歳は、節目の先発転向10試合目となったこの日も本領を発揮した。最速153キロの真っすぐに、いずれも決め球である精度の高いカーブ、スライダー、チェンジアップを織り交ぜて相手を翻弄。100球を超えた8回に入っても、スタミナ十分に150キロの速球を連発した。防御率1・70はリーグ2位、被打率1割7分3厘は堂々の同1位。「先発適性」を証明する活躍が続いている。

繊細かつ器用――。それこそがモイネロの真骨頂だ。バットを握れば左右両打ちで、フィールディングのうまさは折り紙付き。最も驚くべきは左右両投げだ。本人はこう証言する。「12歳まで右でも投げていたんだよ。だから、今でもブルペンで本気を出したら右でも140キロは出ると思うよ」。かつて工藤公康元監督も絶賛した全身がバネのようにしなる体の特性を持ち、名伯楽の倉野チーフ投手コーチが「大谷も怪物だけど、モイネロだって怪物」と舌を巻いた世界的才能。幼少期から水泳など他競技にも打ち込み、強くてしなやかな肉体を手に入れた。野球だけでなくサッカーやバスケットの腕前も相当。何でもできる身体能力の高さが「怪物」たるゆえんだ。

キューバに帰国した昨秋から体力強化のため走り込みを増やし「先発仕様」に仕上げてきた。器用さに加えて生真面目な性格で、託されたミッションを完遂する責任感が好パフォーマンスにつながっている。

4年ぶりのペナント奪回へ躍進するチームを支えるキューバの至宝。世界クラスの才能が、NPBを席巻している。

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