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ノティシアス・デ・ギプスコアのインタビューでのことだった。日本のメディア向けの質問であると断ったうえで、タケ・クボ(久保建英)について話題をふると、ブライス・メンデスは笑みを浮かべながら答えた。
「見たままの、天真爛漫な奴さ。どんな時も、どんな状況でも、思ったことをそのまま口に出す。試合直後のフラッシュインタビューでも興奮が収まらず言葉が口をついて出ることがあるけど、タケの場合はそれが日常茶飯事なんだ。茶目っ気もあるしね。彼がいると場が盛り上がる。ナイスガイでいつもドレッシングルームで笑いを提供してくれる」
試合中など時々怒っているように見えることもあるが、ブライスによれば、それもまたタケの天真爛漫な性格の一端だという。
「怒っているとかでは全然ない。周りからはそう見えるかもしれないけどね。普段も同じさ。いつも冗談を言ってくるので一緒にいると笑顔になれる。スペイン語が上手いし、さっきも言ったように茶目っ気もある。ちょっとでもからかうと、簡単に反応してくることも含めてね。みんなタケとはいつそんな感じでやり合っている。チームの雰囲気が良いのは外から見ていても分かるはずだ」
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アレクサンダー・セルロト(現ビジャレアル)は、タケと前線でコンビを組んでいた昨シーズン、その相棒について良い選手なのは知っていたけど、こんなに良いとは思わなかったと発言した。
一方、プライベートでもサッカーを見るのが大好きなブライスは、ソシエダに加入してからのタケの飛躍的な成長にはそれほど驚いていないと明言する。
「とても良い選手だとはずっと思っていた。レンタル先を転々としながら、思うように結果が出ていなかった頃からね。夏になると、毎年、多くのクラブが彼の門を叩いていた。将来性を評価されていたこともあるけど、実際、彼はまだまだ若いしね。
僕が特に評価しているのは、メンタルの強さだ。自分の力を信じ、そのことをピッチ上で証明し続けている。今これだけのパフォーマンスを見せているんだ。これからまだまだ伸びる可能性を秘めている」
ブライスはさらに、その非凡なセンスは練習中にも随所に感じると語る。
「スピードがあって何をしてくるか分からない。足に吸い付くようなボールタッチで縦にも中にもどちらにも抜ける。シュートが上手いし、ゴール前にタイミングよく顔を出す」
連戦による疲労の蓄積でタケが後半戦、失速したというのは共通の認識になっているが、ブライスはそうした外野の声にも反論する。
「終盤も調子が良いように見えたよ。長いシーズン、多かれ少なかれ好不調の波はある。選手というのは、良く言えば野心的で悪く言えば、わがままなところがある。誰だって全試合フルタイム出場したい。でもだからこそ監督が存在するのであって、僕たちは与えられた時間、全力でプレーするだけだ」
シーズンの終わりは、移籍市場のオープンを意味する。ソシエダには、ミケル・メリーノ、マルティン・スビメンディ、ロビン・ル・ノルマン、そしてタケとメディアをにぎわしている選手が4人いるが、その中で今夏、最もチームを離れる可能性が高いのは誰かと聞くと、ブライスの予想は全員残留というものだった。
「僕は4人全員残ることに賭ける。毎年のことさ。メディアは当たればラッキーという感じでダンスを始めるけど、何も起こらないことのほうが圧倒的に多い。ドレッシングルームではジョークとして受け止めている。ひと夏を経て、チームの顔ぶれが大きく変わるとは思えない。だから色々な噂が取り沙汰されても、ドレッシングルーム内の空気はいたって平静だ」
「仮にその中で本当の話があるとするなら、それはビッグクラブが注目に値する選手がソシエダにいることになる。僕たちが近年、良いシーズンを送っている証で、評価しなければならない」
取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸