終了…ショック 商業施設に設置のストリートピアノ これまでに延べ6万8千人が演奏 「うまい下手は関係ない」行き交う人々を楽しませてきたピアノの行方は

所沢駅直結の商業施設に設置されたストリートピアノ。終了の告知には演奏者が貼ったと思われる「続けてください」と書かれたメモがあった=1日、グランエミオ所沢

 埼玉県所沢市が西武線所沢駅直結の商業施設「グランエミオ所沢」に設置しているストリートピアノが、7月7日をもって終了する。2021年9月に設置した当初は期間限定だったが、「続けてほしい」という市民の声を受けて延長していた。誰でも弾くことができ、5月20日までに延べ約6万8千人が演奏。駅や商業施設の利用者がピアノの音色を楽しんでいた。

 1日は午前10時の演奏開始時間から、終了を知った演奏者数人が集まった。飯能市在住で自営業の40代女性は、「(終了すると聞いて)すごくショック。ベンチに座って聴ける環境もいいし、ピアノの状態もいい」と話す。相模原市から訪れた20代の男子学生は、「ストリートピアノは上級者が弾くイメージになってしまっているが、うまい下手は関係ないと思う」とドビュッシーの有名曲「月の光」を演奏。席を立つと、「すてきですね」と聴き入っていた女性から声をかけられていた。

 市の「音楽のあるまちづくり推進事業」の取り組みの一環で、駅改札口正面のスペースに「音まちピアノ」として設置された。利用は午前10時~午後6時半(火、水曜日は定休日)。受け付け名簿に名前を記入すれば、順番で誰でも自由に弾くことができる。

 ピアノは市内企業から寄贈されたカワイ製のアップライトピアノで、茶色い木目調に、「猫脚」と呼ばれる曲線の形状の脚が特徴。最終日にはセレモニーが行われ、終了後は市立わかば児童館で利用される予定。

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