“金魚絵師”の独自な世界観…福井で「深堀隆介展」開幕 福井市美術館、7月28日まで

「金魚酒 命名 鈴夏」(2021年)。8.5センチ角の升の中で命が宿っているよう

 金魚をモチーフとした独自の表現で知られる美術作家、深堀隆介さん(51)=神奈川県横浜市=の大規模個展「深堀隆介展~水面のゆらぎの中へ~」(福井市美術館と福井新聞社でつくる実行委員会主催)が6月8日、福井県の福井市美術館で開幕した。学生時代の作品から新作のインスタレーションまで290点余りを披露し“金魚絵師”の軌跡を一望する。

 深堀さんは創作に行き詰まっていた2000年、自室で飼っていた金魚の美しさに魅せられた。以来、金魚をモチーフに創作を続けている。

⇒国内外24種類のクラフトビール勢ぞろい…「クラフトビアふくい2024」開催

 会場には代表的な「金魚酒」シリーズがずらり。透明樹脂を何層も重ねながら描く「2.5Dペインティング」と称する技法により、一合升の中に金魚が立体的に描かれている。

 金魚は木おけや机の引き出し、つぶれた空き缶の中を泳ぎ回る。美しい背中を描く平面の大作、透明感あるうろこに迫った抽象作品など、金魚の魅力を多彩な表現で見せる。縁日の金魚すくいを再現したコミカルな作品、4畳半の空間で群れをなして泳ぎ回るインスタレーションも目を引く。

 福井市制135周年、福井新聞創刊125周年記念の展示。7月28日まで。同15、22日を除く月曜と同16日は休館。一般1200円、高校・大学生800円、小中学生500円。福井市美術館=電話0776-33-2990。

© 株式会社福井新聞社