【浦和】ヘグモ監督がリバプールの4-3-3を語る「ハイプレスを発展させるためには…」

昨年より高い位置からプレスに行けるようになっている。一方、後ろが重たくなり失点する傾向はまだ見られるが…。

J1リーグの浦和レッズはこのほど4日間のオフを経て、6月15日のセレッソ大阪戦に向けてトレーニングを再開させた。

前節ヴィッセル神戸戦(△1-1)を控えた5月30日のオンラインによる記者会見で、ペア=マティアス・ヘグモ監督がリバプールFCの4-3-3と絡めて話をしてくれた。

浦和は昨季よりも高い位置からプレスに行けている。しかし、例えば最近だとサイドバックが球際へアタックに行けず、後ろが重たい(最終ラインに人がいる)状態で、失点する傾向がまだ改善されずにいる。リバプールの4-3-3はヘグモ監督の理想の一つのように感じるが、確かに彼らはルーズボールのチャンスと見れば、ウイングの位置までインサイドハーフやサイドバックがプレッシングに行く。その「前から行く」という意識の”乖離”はまだあると感じているのか。

「鋭い分析だと思います。ハイプレスを発展させるためには、練習の文化をしっかり根付かせることが大事です。できるだけ高い位置で多くのボールを回収するためには、(ユルゲン)クロップ監督も言うように、ハイプレスだけではなくゲーゲンプレスも大事になってきます。あらゆるメソッドを使い、プレスを掛ける時にアグレッシブさを向上させようと、日々トレーニングしています」

中には、これまでそのような守備の仕方をしたことがない、という選手もいるはずだ。そこは狙いと理論を説明し「練習の文化」で落とし込んでいく。指揮官はその大切さを強調していた。

「試合を通じてハイプレスを掛けるというのは非常に高い要求で、それに応えるためのフィジカルコンディションも重要になります。ただ戦術的に賢くプレーすることも重要です。これから日本は気温が上がります。守備の時はできるだけハイプレスを掛けることが重要ですが、自分たちがボールを握ればその回数を減らすこともできます」

例えばサイドバックの対応が”ディレイ”一択になり、結局、パスやクロスを比較的フリー上げられてゴールを決められてしまう。その失点パターンがなかなか減らないのは、一つ課題に挙げられるだろう。アンカーの脇を使われることにもつながっている。

「もちろんフィジカル的な側面もありますが、同時にメンタル的なところもあると思います。今は(渡邊)凌磨とヒロ(石原広教)がサイドバックとしてプレーしていますが、彼らは非常に良くなっています。前に出て相手にしっかり寄せることもできて、1対1の対応も得意になってきていると思います。

沖縄トレーニングキャンプでは相手選手の2、3メートル手前で止まってしまうことが目立っていました。でも1対1や2対2のトレーニングもたくさん行っています。そのトレーニングでは”姿勢”のトレーニングになりますし、同時に戦術的な判断のトレーニングにもなります。自らが奪いにいくのか、自分が寄せて次の人に取らせに行くのかという判断です。選手たちもそういったところを向上させようとトレーニングで一生懸命取り組んでいます」

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まず前からハメていく。その判断のところで、ヘグモ監督の意図を理解していると感じるのが岩尾憲だ。指揮官のやり方を熟知するサミュエル・グスタフソンとともに、ヘグモ式4-3-3がチームに浸透していくためのキーマンに挙げられる。ヘグモ監督自身も「戦術的な判断も絡んできますが、憲は私が指導した選手の中でも最も賢い選手の一人です。いい見本になる選手です」と語っていた。

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