オノフ フェアウェイ アームズ AKAを稲場智洋が試打「HS40m/s前後のアスリート向け」

全芯ヘッドのチタンFW 大谷似な豪快スイングコーチの評価は!?

ステンレス素材が主流のフェアウェイウッド(以下FW)の中で、コスト度外視のチタン素材を採用しているオノフ FWシリーズ。新作「オノフ フェアウェイ アームズ AKA」はチタンボディを継承しながら、フェースのどこに当たっても真っすぐ飛ばせる“全芯主義”を掲げるやさしいヘッドとなっている。そんな全芯チタンFWをヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。顔は“控えめな大谷翔平”&スイングは豪快(HS50m/s)なゴルフテックコーチ・稲場智洋の評価は!?

「微小なフックフェースが△ コンセプトはブレていない」

左右にバラつきが見られ 曲がり幅も大きく飛距離ロスに

―率直な印象は?
「現在マイクラブはピンの『G425 LST FW』で、マットな仕上がりは似ていて好印象なものの、形状はフックフェースに見えて違和感を覚えます。いつも通り振るとつかまりすぎてしまうため、無意識にボールを逃がそうとしてしまい、結果的に右へのミスに…。FWでの引っかけやフックのミスが多い人には、構えた際のフェースの向きがちょっと気になるかもしれません」

左が24、右が22年モデル。ソールデザインだけでも印象はガラリと変化

―打感の評価は?
「海外ブランドをはじめとする最新モデルの主流は、打音がやや鈍めで、音はボフッという少しこもった感じが多いのですが、今作は珍しくカーン! と響く高音が特徴です。チタンボディ独特の懐かしい音で、すごく遠くまで響くため、かなり飛んだように実感できるのですが、その割に実際の飛距離は出ていない…(総距離:平均258.3yd)。打音から想像する弾道と、実際の球筋が一致しないシーンが何度か見受けられました」

左が24、右が22年モデル。加工以外は特に変化なし

―前作2022年モデルと比べると?
「クラウンの仕上げがマット加工になっているためか、前作と比べて形状はややコンパクトに感じます。また、前作もフックフェース気味だったため、アドレスビューで気になる点は同じなのですが、その度合いは若干抑えめに。前作よりスクエアに構えられます。その分、実際のボールの拾いやすさや上げやすさは、前作のほうが楽に感じられました。見た目の操作性は向上した半面、一般的なHS(1Wで40~43m/s)の人にとっては、実戦での安心感がややダウンしてしまったかもしれません」

同社ロゴの入ったお馴染みのフェース面は所有感を高めてくれる

―見た目と性能が逆行してしまった感じ…?
「そうですねー…。構えた際の評価はアスリートに寄っているのですが、打ってみると意外と前作より吹け上がってしまう点が気になります。前作のほうがボテッとした印象でやさしく見える一方、ボールの上がり方は抑えめでスピン量が適度(平均2532rpm、今作は3050rpm)。つかまり具合はほぼ同じでしたが、ボールが極端に上がりすぎず、前に強い弾道で飛ばせるのは前作でした」

オフセンターヒット時に飛距離ロスを低減させるパワートレンチ(溝)

―飛距離性能がダウンした要因は?
「もちろんスピン量の大小も影響していると思いますが、私のHS(1Wでの平均50m/s)ではそもそも弾道が高すぎて、イメージ通りに飛ばせていないことが最大の理由な気がします。対象HSであればうまく性能を引き出せますが、ある程度のHSを超えると適正な打ち出し角が得られにくい。意図的に上がらないように打ったものの(打ち出し角:平均10.5度)、今度は飛距離ダウン…。若干『KURO』要素を含んだアスリート寄りの性能にはなっていますが、基本軸は『AKA』のままブレていません。コンセプトをしっかり維持したFWといえます」

「普段の飛距離より20ydほど落ちてしまった…」(稲場)

―どのような人向き?
「ドライバーのHS40m/s前後の人向き。スピードがマッチすれば、ボールは上げやすく寛容性もあるので、平均飛距離が伸びると思います。特に国産ブランドの顔に慣れている方にとっては馴染みがあり、ちょっとだけフックフェースの顔がつかまるイメージが持てて、安心感と構えやすさを感じられる。今まで国産を使ってきて、最近ちょっぴりアスリート志向に移行したゴルファーに、ジャストフィットするモデルではないでしょうか。それ以上のスピードの方は、やはり同社ツアーモデル『オノフ フェアウェイアームズ KURO』をお勧めします」

稲場のHSはやはり対象外 3点台△4項目と辛口に…【総合評価3.4点】

【飛距離】3.0
【打 感】3.5
【寛容性】3.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】3.0

・ロフト角:15度(3W)
・使用シャフト:SMOOTH KICK MP-524F(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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