伝統の炎、純度の高い鉄造り 田部家のたたら吹き始まる 島根県雲南市

炉に木炭を投入する田部グループの社員=雲南市吉田町吉田、市和鋼生産たたら体験交流施設

 江戸時代、松江藩の鉄師を務めた田部家のたたら吹きが8日、雲南市吉田町吉田の市和鋼生産たたら体験交流施設で始まった。砂鉄と木炭を交互に炉に入れて燃やし、純度の高い鉄を造る。

 田部家は吉田町を拠点に大正末期までたたら製鉄を営んだ。地域振興を目的として2018年5月、約100年ぶりにたたら吹きを復活させ、今回で12回目。

 製鉄炉に火入れし、たなべたたらの里(雲南市吉田町吉田)など田部グループの社員約20人と、一般参加者31人が木炭と砂鉄の投入作業などに取り組む。9日朝、砂鉄が溶けてできた鉄の塊「鉧(けら)」を取り出す。

 参加者を前に同社たたら事業部の井上裕司部長は「たたらの歴史や文化、この町の息づかいを感じてほしい」と話した。

 700~800キロの木炭と、600キロ程度の砂鉄を使い、100~150キロの鉧ができるという。刃物やぐいのみなどに加工して販売する。

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