墓室の壁画。（太原＝新華社配信）
【新華社太原6月8日】中国山西省考古研究院は4日、同省太原市で発見した「樹下人物図」と呼ばれる樹木と人物を題材にした唐代壁画墓の詳細情報を発表した。壁画は保存状態が良く、唐代墓の壁画を研究する上で重要な価値を持つという。
太原市で見つかった唐代「樹下人物図」壁画墓の墓門。（太原＝新華社配信）
墓は2018年に道路改造工事で見つかり、文化財部門が緊急発掘とその後の研究を行った。傾斜墓道を持つ単室磚（せん）室墓（磚＝れんが）で、墓門、甬道（ようどう、通路）、墓室の四壁と天井、棺床に壁画が施されていた。墓誌によると、被葬者は開元24（736）年に私邸で63歳で死去し、同年に夫人の郭氏と晋陽（現在の太原市）の西に合葬された。
墓門東壁の壁画。（太原＝新華社配信）
太原市文物保護研究院晋陽古城研究所の竜真（りゅう・しん）所長は、墓門と甬道、墓室門にそれぞれ描かれた対の人物について、墓門は門吏、墓室門は侍衛（護衛者）と見方を示し、甬道については客を迎える姿勢を取っていると語った。
墓門西壁の壁画。（太原＝新華社配信）
最も目を引いたのは墓室東壁南側の生活作坊図（作坊は工房の意）と西壁南側の駱馬図で、生活作坊図には石うすローラーで脱穀する男性や石うすで小麦をひく女性など、駱馬図には遠くに山や樹木、手前には長いスカートを履き、胸の前で四角い箱を両手で持つ女性と手綱と鞭を持ちラクダと馬を連れた胡人が描かれていた。
甬道東壁の壁画。（太原＝新華社配信）
中心となる壁画は棺床を取り囲む一組の屏風絵で8幅からなる。第1幅にあでやかな花が咲く植物1株、第2幅に圭（礼器）を持って恭しく立ち、南に向かって拱手する老人、第3幅に石を胸の前に抱えて墓の方を向く老人、第4幅に身をかがめて前方のヘビに手を伸ばす老人、第5幅に斧を担ぎ、薪を背負う老人、第6幅に左手に杯を持ち、右手で大樹を指差す老人、第7幅に圭（礼器）を持って恭しく立ち、南に向かって拱手する老人、第8幅に花が枯れた植物1株がそれぞれ描かれていた。
甬道西壁の壁画。（太原＝新華社配信）
竜氏は、「樹下人物図」は太原地区でこれまでに発掘された唐代墓から比較的多く見つかっていると説明。今回の墓は年代を確定できる唐代「樹下人物図」壁画墓の中で時期が最も遅く、太原地区で「樹下人物図」が流行した時期を研究する上で重要な意義を持つと語った。（記者/王学濤）
墓室南壁東側の壁画。（太原＝新華社配信）
墓室南壁西側の壁画。（太原＝新華社配信）
墓室西壁北側の屏風絵（第1幅）。（太原＝新華社配信）
墓室西壁北側の屏風絵（第2幅）。（太原＝新華社配信）
墓室西壁北側の屏風絵（第4幅）。（太原＝新華社配信）
墓室西壁南側の壁画。（太原＝新華社配信）
墓室北壁の屏風絵（第3幅）。（太原＝新華社配信）
墓室北壁の屏風絵（第5幅）。（太原＝新華社配信）
墓室北壁の屏風絵（第6幅）。（太原＝新華社配信）
墓室東壁の屏風絵（第7幅）。（太原＝新華社配信）
墓室東壁の屏風絵（第8幅）。（太原＝新華社配信）
墓室東壁南側の壁画。（太原＝新華社配信）
墓室四壁の展開図。（太原＝新華社配信）
太原市で見つかった唐代「樹下人物図」壁画墓出土の石俑。（太原＝新華社配信）
太原市で見つかった唐代「樹下人物図」壁画墓の墓誌。（太原＝新華社配信）
