「白山さん」で出張輪島朝市 御陣乗太鼓で盛況

輪島の海産物で来場者をもてなす組合員=白山市の白山比咩神社

 白山市の白山比咩神社で8日、「出張輪島朝市」(北國新聞社後援)が開かれ、多くの参拝者らが輪島の特産物や伝統工芸品を買い求めた。同市での出張輪島朝市は初めてで、8、9日の2日間で輪島市朝市組合の計14店が出店する。会場には県無形民俗文化財「御陣乗太鼓」の保存会も駆けつけ、輪島伝統の朝市と太鼓が霊峰白山のふもとで「共演」し、能登の活力を伝えた。

 漁業関係者らが大漁などを祈願する「御贄講(みにえこう)大祭」に合わせて営まれた「能登半島地震復興祈願祭」の一環で輪島朝市が出店した。

 組合員らが「おいしい干物たくさんあるよー」「近くで見てってー」と威勢よく呼び掛け、輪島塗や海産物など多彩な商品で来場者を出迎えた。二木洋子さん(72)は「予想以上のお客さんと、2次避難で輪島を離れた知り合いが来てくれて元気が出た」と話した。

 イカやホタテの串焼きを並べた店舗には、香ばしい匂いに誘われて大勢の客が詰め掛け、開店早々に完売となる好評ぶりだった。輪島市から白山市に2次避難しているという80代の女性は「久しぶりに地元の食材を買えてうれしかった」と笑顔を見せた。

 会場に設置されたステージには、輪島市の御陣乗太鼓保存会のメンバーが登場。幽霊や夜叉(やしゃ)の面を着けた6人が全力で太鼓を代わる代わる打ちつけると、会場の熱気は最高潮に達した。

 保存会にとって、地元の輪島市名舟町にある白山神社の総本宮である白山比咩神社での演奏は格別だという。槌谷(つちや)博之事務局長は「特に今回は輪島朝市のテントが並ぶ光景を見ながら披露でき、いつも以上に気合が入った。朝市と太鼓のエネルギーが復興の力になると感じた」と話した。

 9日は、白山市を拠点に活動する太鼓グループ「和太鼓サスケ」と「隼」の演奏会が開かれる。

 御贄講大祭では、県内の漁業関係者約100人が海上安全と豊漁を祈った。献幣使(けんぺいし)を務めた県漁協加賀支所の窪川敏治運営委員が祭文を読み上げ、舞女(まいひめ)がタイ釣りを表現した「大漁神楽」を舞い、県漁協美川支所の9人が祝い唄「御酒(ごんしゅ)」を披露した。

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