改正された自転車の交通ルール どこがどう変わるのか? しっかりおさらい【「表と裏」の法律知識】

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【「表と裏」の法律知識】#237

自転車の交通ルールが変わるのをご存じですか? 道路交通法の改正が5月17日に成立しました。これを機に、自転車の交通違反者に対する取り締まりが一気に増加すると思われます。

一体どこが変わるのか。シッカリおさらいしてください。

反則金の対象者は16歳以上の運転者です。そして「信号無視」「指定場所一時不停止」「携帯を操作しながらの運転」など113種類程度の違反行為が対象です。

反則金額は今後、政令で決まることになり、5000円から1万2000円になる見込みです。また、酒酔い運転や飲酒運転、スマホの使用で危険を生じさせた場合には従来どおり、赤切符が交付されます。かなり厳しいものになるのです。

みなさんは、子どものころから自転車に乗っている人が多いと思います。とくに交通ルールの講習などは受けず、“なんとなく安全”を意識しながら、公道を運転していると思います。その結果、高齢者の方を含めた成人の方の中には、長年誤った自己流の交通ルールをもとに、わが物顔で自転車の運転をしている人もいます。歩道を運転したり、どこでもかまわず車道を横断したり、いきなり飛び出したり……。

今回の法改正によって、違反を指摘されたときに「そんなルール知らなかったよ」「だれも教えてくれなかった」と言い訳しても、それは通りません。ですからいま一度、交通ルールの再確認が大切なのです。

ただ、「自動車の運転と違って、自転車なんだから」と甘く考え、残念ながら、交通ルールを順守する意識が乏しい者がいることも事実です。

では、どうすればいいのか。反則金制度を導入したとしても、自転車の交通ルールを順守する気がない者には、根気強く交通安全教育の実施をしていくほかありません。規制と教育の両輪があって初めて、交通ルールの徹底につながるのです。ですから今後は、自動車の運転免許制度と同じように、定期的に自転車の交通安全教室に参加を義務付けるなど制度設計が求められます。

罰則強化だけで一件落着させていい問題ではないのです。

(髙橋裕樹/弁護士)

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