『ONE PIECE』長期連載で“激変”した人気キャラクター 初登場からは想像できず?

『ワンピ』登場時から“激変”した主要キャラたち【写真:(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション】

「気丈」から「涙もろい」キャラへ…大きくキャラ変したクルーたち

1997年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載開始された漫画『ONE PIECE』(作:尾田栄一郎)は、今年で連載開始から26年を迎えた長期連載作品だ。主人公モンキー・D・ルフィとその仲間たちは、長期連載のなかでキャラクターが変化している。本記事では、麦わらの一味の中で特にキャラクター変化が大きい3人を紹介する。

1人目は航海士・ナミだ。彼女は麦わらの一味の古参メンバーであり、原作漫画では8話から登場する。

原作9話「“魔性の女”」でナミは「海賊からお宝を盗む泥棒」と名乗り、海賊を毛嫌いしていた。これは、幼いころに養母ベルメールを海賊に殺され、親の仇である魚人アーロンの一味として働かされていた境遇によるものだ。

ナミは麦わらの一味によってアーロンから解放されるまで、涙を見せることもなかった。これは、彼女が亡き養母の墓前で「もう泣かないって決めた!!」と誓いを立てたためである(原作79話「“生きる”」)。

しかし、新世界編からのナミは、情に厚い女性へと変わっていた。特に「子ども」が関わると、怒りや慈愛などの感情をあらわにするように。特筆すべきは、パンクハザード編でシーザーによる人体実験の被害者となった子どもたちを、自ら助け出そうとする場面だ(原作658話「“ビスケットルーム”」)。

また、ワノ国を去るルフィたちとの別れを惜しみ、光月モモの助が号泣している場面では、ナミも盛大にもらい泣きしている(原作1057話「“終幕”」)。もしかすると自身の育ってきた過酷な環境が関係しているのかもしれない。

2人目は、麦わらの一味のもう1人の女性クルーであるニコ・ロビンだ。ロビンは、当初ルフィたちの敵であるバロックワークスの副社長ミス・オールサンデーとして登場した(原作114話「“進路”」)。

仲間になった当初は感情表現が少ない人物だったが、新世界編からはクルーたちと打ち解け、ワノ国編ではほかのクルーとともに衝撃的な「変顔」をするなど(原作924話「“は”」)、良い意味で別人のようなキャラクター変化を見せている。

ロビンもまた、ナミと同じく壮絶な幼少期を過ごした人物だ。政府から「悪魔の子」と呼ばれ、莫大な報奨金の賞金首として世界的に手配された過去を持っている(原作398話「“宣戦布告”」)。

ここからは筆者の憶測だが、数々の組織を渡り歩き、孤独な日々を送っていた彼女にとって、麦わらの一味は初めて自分が心穏やかに過ごせる場所なのではないだろうか。幼いころから心安らぐ瞬間がなかった彼女が笑顔でいられる今こそが、彼女の幸福なのかもしれない。

3人目に紹介するのは、ビジュアルが大きく変わったクルーであるトニートニー・チョッパーだ。

チョッパーは初登場時、リアルな「トナカイ」に寄せたビジュアルだった(原作139話「“トニートニー・チョッパー登場”」)が、現在では頭身や目の大きさなどが大きく変化し、マスコットキャラクターのようなキャラデザインに変貌を遂げた。

キャラクターブック『ONE PIECE GREEN SECRET PIECES(ジャンプコミックス)』(集英社)によれば、作者の尾田氏はマスコットキャラを嫌っており、チョッパーをデフォルメしたトナカイではなく、本物に近い容姿で描いている。

しかし、チョッパーをアニメ化した際、キャラクターデザインを務めた小泉昇氏が描くチョッパーと声優・大谷育江の声があまりにもかわいかったため、尾田氏も「マスコット」的なビジュアルのチョッパーを描くことを決意したのだ。

そのほかのクルーたちも長い連載の中で少しずつ変化している。本作を読む際は、ぜひクルーたちの「キャラ変探し」も楽しんでほしい。カキMONO.1

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