「頭がパンクしそうなくらい学んだ」神谷そらは全米予選落ちで“大収穫” V争いからの…全英出場を決めたいワケ

神谷そらが67をマークし急浮上した(撮影:福田文平)

<宮里藍 サントリーレディス 3日目◇8日◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇ 6545ヤード・パー72>

居残り練習の成果だった。この日ベストタイの「67」をマークした神谷そらが32位から首位と2打差の4位タイに急浮上した。メジャー初挑戦だった「全米女子オープン」はトータル14オーバーで予選落ちしたが、週末の2日間は一日7時間の居残り練習を行い、決勝ラウンドも選手目線で観戦。たくさんの“お土産”を持って戻って来たツアー通算2勝の21歳が、帰国初戦で今季初の優勝争いを演じている。

「全米は歯が立たないくらいひどいスコアで予選落ちして、ずっと練習していました。練習環境が本当に素晴らしくて、広いドライビングレンジではスタート前の最終組の選手たちと一緒に練習できた。アプローチのバリエーションとかを見よう見まねで覚えていました」

ロープの外を歩いた決勝ラウンドも学びの場となった。昨季の日本ツアーでドライビングディスタンス1位となった飛ばし屋も「あっちに行くと、私の飛距離がちょうど平均くらいになる」と話し、「日本ではバンカーを越えても、向こうでは入ってしまう。そういうときに、どうマネジメントするのか全員の選手が参考になった」と選手目線のギャラリーとなった。

日本ではほとんどアイアンでカバーできるパー3のティショットも、初体験の全米ではユーティリティを握ることが多かった。「でも、あっちの選手はアイアンで打ってくる。ユーティリティを使う選手も8番アイアンくらいで打つような精度があった」と、驚きと勉強の連続。伸びしろだらけの自分を再確認する有意義な一週間を過ごしてきた。

「成長できるところは数えきれないくらいある。頭がパンクしそうなくらい学びました」

プロ1年目の昨季は国内メジャー「日本女子プロゴルフ選手権」で優勝するなど、いきなり2勝を挙げた。今季は開幕戦で4位タイになったが、優勝争いに絡むことなくメルセデス・ランキングは31位と不本意な結果が続いている。そんなモヤモヤも全米は吹き飛ばしてくれた。今大会の3日目までのドライビングディスタンスは1位の273.833ヤード。「きょうは全然振れなくて、飛んでいなかった」と顔をしかめたが、計測ホールの17番は281ヤードを飛ばし、2位の内田ことこに12ヤードの差をつけた。

全米ではうれしい再会もあった。昨年の日米ツアー共催「TOTOジャパンクラシック」の2日目で同組となったのが縁で仲良くなったリン・シユ(中国)に「ようこそLPGAツアーへ」と歓迎された。一緒に練習ラウンドを行い、日本から持っていった和風のヘアバンドをプレゼントした。次に会える機会は8月にセントアンドリュース・オールドコースで開催される「AIG女子オープン」(全英)。最終日に2打差を逆転して3勝目を挙げるか、2位に入れば全英切符が手に入る。「頑張ってねと言われたので、全英に行きたいです」。メジャーで経験し、学んだことはメジャーの舞台で試したい。世界ランキング13位の友人も聖地で待っている。(文・臼杵孝志)

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