インドネシアやベトナムの外国人実習生が南予の海で奮闘している。日本の制度を利用して来県した若者らで、地域に溶け込み、漁業の技術や日本語を学ぶ。受け入れる関係者は彼らがもたらす活気を歓迎し、一人前の漁業者への成長を温かく見守っている。
愛媛県漁業協同組合は昨年初めて、宇和島支所(宇和島市)で技能実習生を受け入れた。現在はインドネシア出身の18~21歳の男性9人が組合員5人に雇用され、巻き網漁や道具の修理方法などの習得に励む。
技能実習制度は、発展途上国出身者が日本で技術や知識を身に付け、母国に還元する国際貢献を目的に1993年に始まった。経験年数に応じて1~3号があり、在留期間は最長で計5年。県漁協は2022年度から監理団体になり、実習生と受け入れ先のマッチングのほか、就労状況や賃金の支払いの確認、実習生の相談などに対応している。
5月下旬の休漁日、宇和島事業部研修センター(同市築地町2丁目)で日本語の勉強会があった。同事業部職員が講師を務め、参加した実習生は2時間にわたり、日本語の問題集に挑戦。単語を並び替えて意味の通る文を考えたり、正しい単語の使い方の文章を選んだりした。
「漢字が難しい」。実習生はそう苦戦しながらも「日本はインドネシアより給料が高いので貯金したい」「将来、家族のために家を建てたい」と目標を口にする。
水産高校を卒業し、技能実習1号として共に1月に来県したサフルル・アディムさん(19)とフィルマン・アンディ・チャフヨノさん(18)は「インドネシアの漁は全て手作業だが、日本は機械化されてすごい。たくさん経験を積みたい」と目を輝かせた。
2人を受け入れる「第三戎(えびす)丸」船主の広沢初志さん(62)=同市蛤=は「どちらも意欲的で素直。若い人が来ると仕事場にも活気が出る。礼儀正しく近所の人も喜んでいる」と目を細める。アパートで共同生活する2人に食材をお裾分けしたり、地域のスポーツ活動に一緒に参加したりと、家族に接するようにサポートしている。