駐車場で茫然 畑岡奈紗の失格は五輪代表争いに影響も「ルールなので…」

翌朝になって前日のルール違反が発覚し失格処分に。畑岡奈紗は無念の表情を浮かべた(撮影/村上航)

◇米国女子◇ショップライトLPGAクラシック by Acer 2日目(8日)◇シービュー ベイコース(ニュージャージー州)◇6190yd(パー71)

トレーニングウェア姿の畑岡奈紗は、コースの駐車場で立ち尽くしていた。6アンダー4位で迎えるはずだった第2ラウンドを控えた午前11半過ぎ。前日の違反発覚による失格は、ウォーミングアップ中に知らされた。

競技委員からの第一報をキャッチできず、キャディのグレッグ・ジョンストン氏から伝え聞いた。第1ラウンドの最終9番(パー5)、茂みに打ち込んだボールの捜索に制限時間の3分を超えていたことが、現地の米テレビ中継局関係者の指摘を発端にこの日の朝に発覚したという。米女子ツアーの検証から全米ゴルフ協会(USGA)との協議の上、処分が決まった。

ゴルフ規則による3分の制限時間は、実際には選手やキャディが都度計測するわけではない。たまたまその場に居合わせた競技委員らが目撃していれば別だが、時間超過は当人らの感覚に任されているのが現状だ。

アンフェアでは――? 違反、失格の事実を「ルールはルールなので仕方がない」と受け止めながら、畑岡にはやるせない思いが渦巻いていた。裁定が下ったのが、違反した当該ラウンドの翌日だったこと(ホールアウト前であれば2罰打で済んだ)。通報したのが同伴競技者やキャディ、競技委員ではなかったこと。その後、詳細の確認と今後の対策についてツアーに説明を求め、クラブハウス内でスタッフと会話した。

広大なゴルフ場では、すべての選手のすべてのプレーがカメラに収められるわけではない。制限された台数で注目選手を追う。好プレーを続けていた畑岡(同じ組の選手はトップを走っていた)には今回、その証拠映像が残っていた。これがギャラリーもほとんど帯同していない下位の選手だったらどうだったか。もちろん、注目組の選手のボールであれば、紛失前に関係者や多くの来場者が見つけてくれることもある。いずれにしても、不完全さが際立つルールの下でペナルティが運用されているように映った。

女子ゴルフは「パリ五輪」出場をかけた代表争いが佳境に入った。24日付の世界ランキングをもとにした五輪ランキングで決まるレースで日本代表は2枠が濃厚。「全米女子オープン」を制した笹生優花は“当確”と言え、実質的に残りの1枠を争う構図になっている。

毎週更新される最新世界ランクで畑岡は19位。22位の古江彩佳、25位の山下美夢有との3人の戦いが熾烈だ。今週から3週の結果で決まる。次週「マイヤーLPGAクラシック」(ミシガン州ブライズフィールドCC )の欠場を決めていた畑岡にとって、今大会での4位スタートは絶好だった。しかし、失格は獲得ポイントがゼロであることを示す。

同じく米ツアーを主戦場とする古江は今大会で予選を通過し7位で最終日に望む。次週の出場も決めている。山下は今週から国内ツアーで2連戦を組んだ。畑岡はポイント加算がないまま、2人とともに選抜レースの最後の戦いであるメジャー「KPMG全米女子プロ選手権」(20日開幕/ワシントン州・サハリーCC)を迎える。(ニュージャージー州ギャロウェイ/桂川洋一)

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