青山学院大・西川、大商大・渡部などドラフト1位候補も出場!【全日本大学野球選手権:プロ注目の7人】<SLUGGER>

6月10日に開幕する全日本大学野球選手権。ドラフト候補となる選手にとっては極めて貴重なアピールの機会となる。今回はその中でも特に注目の7人をピックアップして紹介したいと思う。

▼西川史礁(青山学院大│外野手│龍谷大平安高)
将来像:鈴木誠也(カブス)
現時点での評価:1位重複の可能性あり

3月に行われた侍ジャパントップチームの強化試合でも活躍した強打の外野手。昨年のこの大会でも4試合で打率.467、1本塁打の活躍でチームの優勝に大きく貢献した。今年の春も厳しいマークにあいながらリーグ3位の打率をマークしてMVPを受賞。豪快なフルスウィングでホームラン打者らしい打球の軌道が光る。今年からコンバートされたセンターの守備にも注目だ。

▼渡部聖弥(大阪商業大│外野手兼三塁手│広陵高)
将来像:外野を守れる牧秀悟(DeNA)
現時点での評価:1位指名の可能性あり

関西大学球界屈指の強打者で、西川と並ぶ存在と言える。これまで全国大会に5度出場し、11試合で打率.476、1本塁打と圧倒的な数字を残してきた。昨年も東京ドームのライト中段へ軽々と運ぶ一発を放つなど、広角に大きい当たりを打てるのが持ち味だ。たくましい体格だが脚力も抜群で、肩の強さも一級品。この春は高校時代に守っていたサードの守備にもつき、高い適応能力を見せた。▼佐々木泰(青山学院大│三塁手│県岐阜商高)
将来像:松田宣浩(元ソフトバンクなど)
現時点での評価:上位指名の可能性あり

高校時代から評判を集めていた強打の三塁手。1年春にいきなり4本塁打を放って頭角を現し、東都リーグの現役選手では最多となる通算12ホーマーを誇る。少し調子の波が大きいのは課題だが、とらえた時の打球の勢いは大学球界でも屈指だ。今年の春は開幕から極度の不振に陥り、なかなか快音が聞かれなかったものの、最終戦で優勝を決めるスリーランを放って存在感を示した。チームメイトの西川に少し差をつけられた印象だけに、今大会で何とかアピールして評価を上げたいところだ。

▼佐藤爽(星槎道都大│投手│札幌山の手高)
将来像:高橋尚成(元巨人など)
現時点での評価:支配下指名の可能性あり

昨年まで投げない時は指名打者として出場していたという異色の経歴を持つサウスポー。投手に専念したこの春は5勝0敗、防御率0.47という圧倒的な成績を残し、MVP、最優秀投手、ベストナインに輝いた。スピードは140キロ台前半が多いが、コーナーに投げ分ける制球力の高さと多彩な変化球が光る。昨年のこの大会ではリリーフで打ち込まれただけに、今年はその悔しさを晴らしてアピールしたい。
▼児玉悠岐(青山学院大│投手│日大三高)
将来像:東克樹(DeNA)
現時点での評価:支配下指名の可能性あり

今年の東都大学を代表する左腕。昨年は常広羽也斗(現広島)、下村海翔(現阪神)などがいたこともあって登板機会が限られていたが、今年は完全にエース格となり、春は4勝をマークして最優秀投手のタイトルも獲得した。打者の手元で鋭く変化するスライダーが必殺の決め球で、テンポの良さも光る。勝負所でギアを上げられるのも持ち味だ。リーグ戦の終盤は疲れもあってか少し安定感を欠いただけに、大学選手権では復調に期待したい。

▼荒巻悠(上武大│一塁手兼三塁手│祐誠高)
将来像:佐野恵太(DeNA)
現時点での評価:支配下指名の可能性あり

抜群のパワーが光る左の強打者。昨年秋の横浜市長杯では決勝で2本のホームランを放って注目を集めると、今年春もその勢いは衰えることなく3本塁打、15打点で二冠に輝いた。昨年までは調子の波が目立ったものの、今年春は4割を超える打率を残しており、確実性もアップしている。守備と走塁は平凡で打撃に特化したタイプだが、現在のプロ野球が極端な"投高打低"となっているだけに、打撃の一芸として注目を集めることになりそうだ。▼浦田俊輔(九州産業大│遊撃手│長崎海星高)
将来像:川崎宗則(BCリーグ栃木)
現時点での評価:支配下指名の可能性あり
抜群の守備力とスピードが魅力のショート。小柄だが打球に対する反応、フットワーク、ハンドリングなど全てが高レベルで、その守備力は宗山塁(明治大)に次ぐ存在という評価もある。また大学日本代表候補合宿でも50メートル走で全体3位のタイムをマークしており、昨年秋、今年春と2季連続で盗塁王に輝くなど走塁面も高レベルだ。打撃は少し非力な印象は否めないが、この春も打率.400を記録するなどミート力は高い。今大会は宗山が出場しないだけに、浦田への注目度はさらに高くなりそうだ。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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