52位から「60」でツアー初優勝 スウェーデン女子が同日大逆転

52位からビックリ大逆転。リネア・ストームが「60」をたたき出して初勝利を飾った(撮影/村上航)

◇米国女子◇ショップライトLPGAクラシック by Acer 最終日(9日)◇シービュー ベイコース(ニュージャージー州)◇6190yd(パー71)

3日間競技の2日目、リネア・ストーム(スウェーデン)は最終18番(パー5)で4mのバーディパットを決め、薄氷を踏んで予選を通過した。3アンダー52位で迎えた最終日は第3組に入り、午前8時20分のティオフ。最終組の開始時刻の3時間40分も前だった。

最初のバーディは序盤3番(パー5)。エンジンは5番からの2連続バーディでかかった。9番(パー5)でイーグルを決め前半アウトで「31」(パー37)をマークすると、10番のバーディで通算10アンダー。スタート前の首位に並んだ。

さらに上がり5ホールで4バーディ。最終18番(パー5)で3mのパットを決めると、周囲がにわかに騒ぎ出した。米女子ツアー史上初めて最終日に「60」をマーク。「チャンスがあるかもしれない」と通算14アンダーで、山ほどいる後続選手を待った。

「60」をマークして同伴競技者と大喜びするストーム(中央)(撮影/村上航)

ありあまった時間で「長い昼食(パスタとチキン)をとって、少ししてからジムに行ってストレッチ。それからウォーミングアップの準備をした」。スウェーデンの家族や友人と連絡をとる時間も十分あった。プレーオフになれば、「4時間休んでいた自分よりも相手が有利」と思っていたからこそ、ドライビングレンジでイチから再準備。結局、チャージをかけてきた古江彩佳、メーガン・カンに追いつかれることなく1打差で初勝利が転がり込んだ。

「まだ実感がわかず、現実ではないみたい。このために一生懸命練習して、夢を見てきたからうれしい」。52位からの優勝は1984年以降で、順位における最大の逆転劇。「全く知らなかった。素晴らしいことで誇りに思います。でもこれがゴルフ。あきらめてはいけない。きょうは自分に最後のパットが決まるまで終わりじゃないと言い続けた」

憧れのアニカ・ソレンスタムが3勝した大会だった(撮影/村上航)

下部エプソンツアーとの往来を重ねてきた27歳。13歳の時に初めて会った母国の英雄アニカ・ソレンスタムが3勝し、アンナ・ノルドクビストが2015年から2連覇した大会で待望の瞬間を迎えた。

ストームがプレーしていた午前中、海の向こうの母国では同胞のリン・グラントが圧巻のプレーを見せていた。男女混合の「ボルボ スカンジナビアンミックス」で11位から「65」をマークして11打差をひっくり返した。1日のあいだに驚異的な逆転劇が続いた。(ニュージャージー州ギャロウェイ/桂川洋一)

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