ペダルを漕ぐ足に合わせて動く、“おしりが痛くならない”自転車サドルが開発される

Image:ataraxyBSC

自転車で長距離を走ったとき、お尻が痛くなってしまった経験のある人はいるだろうか。自転車のサドルはサイクリストの体重を支えるためにあるもので、軽快車(いわゆるママチャリ)などでは適度な幅の広さと、クッション性を備えたものが良く使用されている。また。スポーツ車などでは脚の動きやすさを優先して幅が狭く、クッション性も必要最小限なものが使用されていることが多い。

もちろん、女性や体格の大きな人なら、幅広でクッション性の高いサドルのほうが体重を分散しやすく効果はあるはず。だが、乗っていてお尻や股間に痛みを感じることが多いのであれば、ナローなサドルの方が良いという話も聞く。

そんな、単純なようでいてなかなか自分の身体に合う自転車サドルを見つけられない人、自転車でのお尻の痛みに悩んできた人に向けた、新しいタイプ自転車サドルを、オーストラリアのエンジニアであるロビン・マカン氏が開発した。

マカン氏がコンセプトを描き、工業デザイナーの助けを借りて製品レベルのものに仕上げたこの自転車サドル『vabsRider』は、「分割シート設計により、シートと仮想的な軸上で股関節の周りを回転し、脚を個別に動かせる」のが、これまでにない特徴だ。

Image:ataraxyBSC

サドルの座面が左右に完全に分離しており、それぞれがサイクリストの股関節を軸とする大腿骨の動きにフィットして可動するからくりを備えている。

これまでのサドルの多くは固定部品であったため、自転車を漕ぐときに動き続ける足の付け根の部分との接触において負担が生じていた。しかしvabsRiderの場合は、脚とともにサドルの両側が独立して上下に動くことで、座骨から大腿骨に圧力が伝わり、負荷がより均等に分散されるため、痛みが少なくなるとのことだ。

Image:ataraxyBSC

現在マカン氏は、ataraxyBSCと名付けた自身の会社を立ち上げ、『vabsRider』の商品化を進めている。商品バージョンはサイクリストの体格に合わせ、前後と高さの調整だけでなく、サドルの角度と幅の調整も可能になっているという。少なくとも、自転車に装着していざ乗ってみたら合わなかった、という事態は避けられそうだ。

ataraxyBSCは、vabsRiderを独フランクフルトで7月に開催される国際自転車見本市「Eurobike 2024」に出展する予定だ。

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