「24時間予想雨量100から150ミリ」など “幅を持たせた表現” やめます 気象情報の大雨・暴風など量的予想を「幅のない表現」に変更へ 気象庁 過大な総降水量や台風予報との “ミスマッチ” 防ぐ

気象庁は、事前に大雨などの警戒・注意を呼びかける気象情報の中で発表する24時間の降水量・降雪量の予想や、あさって(2日先)の風・波の予想について、これまで「24時間予想雨量100から150ミリ」などと幅を持たせた表現を使っていましたが、13日から「幅のない表現」に変更します。

大雨や大雪、暴風・高波が予想される場合、気象庁は具体的にどれくらいの雨や風が予想されるかを「気象情報」として発表しています。

「大雨に関する〇〇県気象情報」といったようなタイトルで地元の気象台などから発表された情報をご覧になった方も多いと思いますが、気象情報には、
・全国を対象にした「全般気象情報」
・地方単位の「地方気象情報」、
・各県ごとに発表される「府県気象情報」などがあります。

具体的な例を見てみましょう。
去年8月9日早朝に広島県を対象に発表された「大雨に関する気象情報」を例にすると、24時間予想雨量は
9日6時から10日6時まで 120ミリ
10日6時から11日6時まで 100から150ミリ
といったように、翌日朝を起点とした24時間雨量は「幅を持たせた表現」が用いられています。

こうした「100から150ミリ」といったような幅を持たせた表現について、気象庁は、今月13日以降は「120ミリ」のように幅のない表現にします。

気象庁は、この幅を持たせた表現による予想を2019年から始めました。予想の誤差を考慮したもので「予報の不確実性」を伝えるために行っていました。

ただ一方で、幅を持たせた表現をすると問題がありました。

「不確実性」が「過大な予想」として伝えられてしまう

気象庁によると、これまで幅を持たせた表現をするとで以下のような問題があったといいます。

▼幅を持たせた予想雨量の“最大値のみ”が合計されて過大な総降水量が伝えられる

たとえば上記のような雨量予想が出た場合に、山陰地方ではこの先2日間の予想雨量が「200ミリ+100ミリ=300ミリ」といった値で伝えられ、気象庁の予想雨量より過大な総降水量として伝えられることが少なからずある。

▼台風進路予想(5日先まで)より風速が強く出ることがある

台風の5日先までの進路予想では、最大風速や最大瞬間風速の予想は5日先まで幅のない発表であるのに対して、気象情報では幅を持たせているために、台風の進路予想より強い予想となるケースもあり整合性がとれないケースもありました。

気象庁では直近の4~6年間の風速や波の高さ、降水量や風速の予想の精度を検証した結果、24時間先・48時間先・72時間先までの予想の精度に大差がないことがわかったといいます。

たとえば24時間降水量の予想についてみてみます。
実際に降った雨量または予想した値で100ミリ以上となった大雨の事例について、
的中率・・・実際の雨量(100ミリ以上)が予想雨量の±25ミリの範囲内
見逃し・・・実際の雨量が予想雨量より25ミリ超多い
空振り・・・実際の雨量が予想雨量より25ミリ超少ない
とした場合に検証の結果、
▼的中率、見逃しの数ともに、24時間先・48時間先・72時間先の予想に大きな差はなかった
▼見逃しの数は、24時間先・48時間先・72時間先すべてにおいて減少傾向
だったといいます。
2023年の48時間先・72時間先の見逃しの数は、2018年の24時間先よりも減っているということです。

気象庁では、降水量や降雪量、風速や波の高さについて「幅のない表現」に変更して、最も確からしい量的な予想をより伝えやすくする、としています。

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