「子ども持つことをためらわざるを得ない状況強まっている」島根・丸山知事 出生率2.07の目標達成45年に先送り 

島根県庁

 島根県の丸山達也知事が10日、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」2.07の目標達成時期を10年延ばし、2045年に見直す方針を示した。所得低迷や物価高騰など経済的要因を挙げ、「日本全体で子どもを持つことをためらわざるを得ない状況が強まっている」と説明した。

 県は15年10月策定の県版総合戦略(2015~19年度)に合わせて示した「人口ビジョン」で、40年までに出生率2.07を目指すと明記。丸山知事は1期目就任直後の19年6月定例県議会で達成時期を5年前倒しする考えを示し、「島根創生計画」(20~24年度)で掲げた施策を進めてきた。

 一方、15年に全国2位の1.78(全国平均1.45)だった出生率は、コロナ禍などの影響で、23年は前年比0.11ポイント減の1.46(全国平均1.20)で過去最低となり、全国順位は6位タイに下がった。10日に開会した6月定例県議会で見直しを明らかにした丸山知事は、所得低迷や雇用の不安定化、物価・エネルギー価格の高騰などを挙げ、「目標の達成は難しくなっている」と話した。

 また、転入者と転出者の差を示す社会増減の均衡も30年までに目指すとした目標を10年延ばし、40年に変更。コロナ禍を経て東京一極集中が再加速していることを理由に挙げた。23年は転出者が転入者を2041人上回る社会減だった。

 県は見直した目標に基づいて次期島根創生計画(25~29年度)の策定作業を進める方針で、丸山知事は「目指す将来像を見据えて島根創生に着実に取り組む」と強調した。

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