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今週末は、第29回マーメイドS(GIII、京都芝2000m)が行われる。
今年の福島牝馬Sを制したイスラボニータ産駒コスタボニータ、愛知杯勝ち馬のミッキーロケット産駒ミッキーゴージャス、福永裕一厩舎の重賞初Vを狙うハービンジャー産駒エーデルブルーメなど、多彩な血統構成の馬が集結。
ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。
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■新装京都芝2000mの特徴とは?
例年であれば阪神芝2000mでの開催となるマーメイドSだが、今年は阪神競馬場のスタンドリフレッシュ工事の影響で、京都芝2000mでのレースとなる。今回は昨年4月のリニューアルオープン以降の京都芝2000mでのレースから見えた種牡馬傾向を基に分析を薦めたい。
(1)好走率高いハービンジャー ただし2着が多い
昨年のリニューアル以降、当コースにおけるハービンジャー産駒の成績は【2.10.2.22】で3着以内率38.9%。この数字は産駒が30回以上出走した種牡馬でトップの数字となっている。2着が多く勝ち切れないところはあるが、複勝回収率は156%なのでベタ買いで十分に元が取れる計算だ。
また母父ハービンジャーも【1.5.3.8】で複勝率50%超をマーク。こちらも2着が多いのは面白い傾向と言える。
改修により京都はまだ路盤が固まり切っていないようで、タフな決着になることも少なくない。そのうえ内回り2000mは早めに隊列が動くことも多く、より欧州的なタフさが求められるということだろう。
馬連や3連複の軸としてはかなり妙味があると見る。もうしばらくの間はハービンジャーの名前を見かけたときはベタ買いするくらいの勢いで良いのではないか。
(2)相手には拾っておきたい父ハーツクライ系
京都コースの坂下りが苦手なイメージもあるトニービン。そのトニービンをガッツリ引くのが父ハーツクライ系なわけだが、改修後の京都芝2000mでは【8.8.8.39】で複勝率38.1%と意外なくらいの好成績をマークしている。
上でも述べた内容と重複するが、まだタフな京都の芝、そのうえ内回りコースという条件のため、トニービンの欧州的なスタミナ、長く良い脚が武器になるようだ。
(3)最多勝のキズナは雨降り馬場でさらに強い
改修後の当コース最多勝種牡馬がキズナ。9勝は2位以下にダブルスコアの大差をつける圧倒的な成績だ。特に重馬場・不良馬場だと【3.1.1.2】で勝率42.9%、複勝率71.4%という驚異的な数字に。馬券を外す方が珍しいという結果が出ている。
もちろん良馬場でも十分な成績を残しているとはいえ、馬場が渋るとより力を発揮する産駒が多いというのは覚えておきたいポイントだ。
■エーデルブルーメは馬単2着付けも視野に
今回注目したいのは、ハービンジャー内包馬。その該当馬としてエーデルブルーメをピックアップする。
父ハービンジャーに祖母ビワハイジということでブエナビスタやアドマイヤオーラ、アドマイヤジャパンの姪にあたる良血馬だ。
ハービンジャー×タキオンの組み合わせはニシノデイジーやワセダインブルーなどパワーの要る洋芝や直線平坦コースで強い馬が多いイメージ。エーデルブルーメの全姉マイエンフェルトも札幌の1800m、HTB賞でかつて大穴をあけた。母父タキオンでスパッと切れる感じはないので、その意味では梅雨時でパワーがいる内回りの直線平坦コースはプラスに出ると見る。
福永厩舎に転厩して以降、馬がグッと良くなってきた感じがあり、これは普段の稽古を福永調教師がつけているというのも要因のひとつにありそうだ。
配合的には真っ当な中距離馬という感じで2000mはドンピシャの感。このコースでは寿Sでデビットバローズ(新潟大賞典4着)とクビ差の2着がある。
その一方、今回と同じコーナー4つの中距離戦だった2走前の関門橋Sでは4着に敗れているが、中途半端なマクリになってコーナーで外をブン回す形になったのが敗因。勝ったニホンピロキーフをはじめ、上位3頭は内を捌いた馬だったのでその差が大きかった感。
2着が多いハービンジャー産駒でアタマまではどうかも、馬連や3連複の軸ならかなり狙い目になる。馬単2着付けという奇手もありそう。いずれにせよ父ハービンジャーの複勝回収率は特筆もの。川田騎手がミッキーゴージャスではなくこちらを選んだのもかなりそそられるところだ。
あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。
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著者プロフィール
ドクトル井上
【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。