友人がゴミ捨て場にある漫画を「捨てられた物だから」といって拾っていました。これって「窃盗」にならないんでしょうか? たしかに「もったいない」とは思いますが…

ゴミ捨て場の本を持ち帰ると窃盗罪に当たる可能性がある

一般的に、物を捨てるという行為は所有権が放棄されたとみなされます。そのため、落ちているゴミを拾って持って帰っても基本的には問題とはなりません。しかし、ゴミとして収集・運搬してもらうことが前提となっている、ゴミ捨て場に置かれている物については、少々事情が異なります。

刑法の235条には、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」とあります。ゴミ捨て場に捨てられている物は所有権がないから大丈夫と思うかもしれませんが、ゴミ捨て場には管理者がいて、ゴミも管理者の物であると解釈される場合があります。

ゴミ捨て場の物が管理者の占有物の場合、勝手に持ち帰ると窃盗罪に該当してしまいます。

自治体の条例にも注意が必要

自治体によっては、ゴミ捨て場からゴミを持ち帰る行為を禁止している場合もあります。このような場合、所有権や占有物などの状況に関わらず、ゴミを持ち帰ることで条例違反とみなされ、処分されてしまうかもしれません。

例えば、愛媛県松山市では、ゴミ集積場所に置かれた廃棄物のうち、古紙、ガラス瓶、缶、ペットボトルなどの再生利用の対象となる物で市長が指定するものについては、所定の人以外は収集や運搬はしてはならないと定めています。そして、この規定に違反した場合、20万円以下の罰金が科せられます。

ゴミといえども、リサイクルなどの役に立っていることもある

「ゴミなのだから勝手に持ち帰ることがなぜ悪いのか分からない」という人もいるかもしれません。そもそも、自治体はなぜゴミの持ち帰りを禁止するのでしょうか?

ゴミの持ち帰りが禁止されるのは、主に「資源ごみ」についてです。資源ごみとは、再利用や再資源として利用できるゴミのことで、古紙や鉄くず、アルミニウム、瓶などが該当します。

自治体が資源ごみを回収する場合、資源ごみをリサイクル業者へ売却します。そのため、ゴミを持ち帰られてしまうと、自治体の売却益が少なくなってしまうのです。また、自治体がゴミを回収する場合、回収のためにあらかじめ予算を組んでいます。ゴミが想定よりも少ないと、当初の計画がくずれ、無駄な人件費が発生してしまう可能性もあるでしょう。

まとめ

ゴミ捨て場からゴミを持ち帰ると、窃盗罪になってしまったり、自治体の条例に違反してしまったりする可能性があります。

もしも友人がゴミを持ち帰ろうとしていた場合、むやみに持ち帰らないようにそれとなく気づかせてあげましょう。

出典

e-Gov法令検索 刑法
松山市 資源化物の持ち去り近視(条例の改正)について

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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