「ポイントが懸かっていた状況でのミスで…」 角田裕毅、終盤のコースアウトで4戦連続入賞を逃し反省も、メディアは「リカルドを抑えることも可能だった」

F1第9戦のカナダ・グランプリ決勝が6月9日に行なわれ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は終盤にスピンでコースアウトしたことで大幅に順位を落とし、14位でレースを終えた。

ウェットコンディションでのスタートで8番手スタートから10番手に落ちた角田は、セーフティーカー(SC)出動時にコースにステイする戦略を採って7番手に上がり、粘りのドライビングで入賞圏を維持していた。

しかし、9番手で迎えた67周目、ターン9でコースアウトしてスピン。他車との接触は何とか避けられたものの、これで14番手に沈み、そのままチェッカーフラッグを受けることとなった。

ポイント獲得を目前にしながらの失意の結果に、角田は自身のSNSで「今日はポイントが懸かっていた状況でのミスで、チームには申し訳なく思います」と反省の意を示しながらも、「週末を通しての僕自身の進歩には満足しており、スペインでまた速く走るのが待ちきれません」と、ある程度の満足感とともに、次戦に向けての意気込みも示している。

またチームの公式サイト等でも、「今日は自分のミスで、バカなことをしてしまい、チームに申し訳ないと思っています。彼らは戦略で正しい決断を下し、良い仕事をしました。古いインターミディエイトタイヤでのドライビングは簡単ではありませんでしたが、フィーリングは良く、ドライタイヤに交換するタイミングの判断も良かったと思います。フリー走行から予選にかけて改善できた点は良かったですが、今日の結果にはガッカリしているし、こんな形でレースを終えるべきではありませんでした」とのコメントを発表した。

RBのマシンパフォーマンス責任者、ギョーム・ドゥゾトゥー氏は「ユウキのレースは、波乱に満ちたものとなった。SC出動中、インターミディエイトの状態が良かったのでそのまま走らせ、ポジションを3つ上げられた。レースの中盤には、(アストンマーティンのフェルナンド・)アロンソのペースに合わせて7番手を走行していましたが、残念ながらレースの終盤で2度目のSC出動後に幾つかミスを犯し、ポイント圏外でのフィニッシュとなりました」と、角田のレースを振り返っている。

一方、チーム代表のローラン・メキーズ氏は、「土曜日にはユウキがもう1年チームに残留することを発表した。これは当然のことであり、シーズンの早い段階でもうこのことを考えなくて済むのは、彼にとっても、我々にとって非常に良いことだ。彼は難しかった金曜日を経て素晴らしいリカバリーを見せ、この週末もポイントを得るに値する働きを見せた」と、日本人ドライバーに賛辞を贈り、週末での彼の労をねぎらった。 ただ、こうした結末によって、4戦連続でチームにポイントをもたらすチャンスを逸したことで、メディアの報道はネガティブなものとなっており、フランスのモータースポーツ専門サイト『NEXTGEN-AUTO』は、「インターミディエイトで40周近く走り続けるという戦略のおかげでポイント獲得が期待された角田だったが、レース終盤のミスで後方に追いやられてしまった」と伝えている。 英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、このレースウィークエンドでも「勝者と敗者」を選定しているが、角田の名前はやはり後者で上げられ、「カナダGPの前、角田は3戦連続でポイントを獲得しており、今回で4戦連続になる可能性があった。予選を8番手で終え、2回目のSC出動時もそのポジションで走っていたが、その後、入賞の望みは急速に潰えた」と綴り、さらに総括を続けた。

「角田は残り4周でスピンし、3台の車にぶつかりそうになりながら順位を落とした。彼にはポイント獲得のチャンスがあっただけでなく、ダニエル・リカルドを抑えることも可能だった。それでも幸いなことに、コンストラクターズチャンピオンシップで6位につけているチームは、角田のチームメイトが最終的に8位でフィニッシュしたことにより、ハース(7位)との差を(21ポイントに)広げた」

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社